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連載:どこかホッとする心の故郷・おふくろのいる店探訪

いつもは取材お断り!下町の人情と優しさに抱かれながら「おふくろの味」に酔いしれる店

特別豪華な料理ではないけれど、心が癒されるほっとする味。そんな手料理を作ってくれる、“おふくろ”がいるお店を尋ねる連載企画がスタートしました。今回の二回目は、東京の下町・門前仲町にある「はまちゃん」へ伺いました。

夜の帳が降りると、涼しいことも多くなってきた季節。今宵は、温かい手料理が恋しくなる気温です。さっそく、店内へ入ってみましょう。

笑顔で迎え入れてくれたのは、女将のはまちゃんこと、小出はまえさん。「こんな小さなお店に来てくださって。特別なものは、何もないんですけどねぇ」と恐縮されていますが……。

すでにカウンターには、おばんざいが取り揃えてあります!これぞ家庭料理といった風情が、心に染み渡ります。

薄味を心がけている優しい味わい

席に着くと、さっそくお料理が運ばれてきました。こちらでは注文もできますが、女将さんが相手に合わせたお料理を出してくれるようです。

では、「おでん」からいただきましょう!……出汁が濃すぎず、あっさりと食べやすく、ほどよい味付けです。「誰にでも好まれる味を心がけているんですよ。」

そして、こちらの厚揚げ豆腐の食感が、まるで生麩のよう!うんうん、とってもおいしい〜。「絹豆腐を使っているので、モチモチしているでしょ?」

続いては、辛そうなものがきました。「『豚タンとゴーヤのピリ辛炒め』ですよ。ゴーヤはうちの畑で採れたものなんです」とのこと。うんうん、ほどよい刺激と豚タンが合いますね。自家製ゴーヤの苦味も抑えられて、とっても食べやすい。

こちらは珍しい、「ゴーヤの天ぷら」です。独特の苦味が油で揚げることでまろやかになり、ゴーヤ本来の味が濃いのでお酒にピッタリ!

というわけで、辛口の日本酒をいただいちゃいましょう。常温で一口味わうと、スッキリと消えていくかのような味わい。

ふと厨房を見ると、女将さんが大根をおろしています。何が出てくるのでしょうか。

立派な「ブリカマの塩焼き」でした!ふくよかな身は脂がのっていて、これがまた日本酒と合います。

ご近所の和食屋から嬉しい差し入れも!

お店の扉が開くと、割烹姿の粋な料理人が、下駄を鳴らしながらいらっしゃいました。ご近所で高級料理を出されているそうで、差し入れがなんと……。

「うなぎの肝」!うう、もう、おいしいに決まっていますよね。苦味と濃厚なタレとの味わいが、胃に染み渡ります。取材なのにお酒がどんどん進んじゃって、いいんですか?

もはや取材を忘れそうになるほど、すっかりくつろいじゃっています。常連の方も穏やかなご年配の方が多く、趣味にされている釣りのことを教えてくれたり、手品を披露してくれたりと、あー、居心地がいい!

カラオケも気持ちよく歌い放題

店内のスピーカーから、懐メロのイントロが流れてきましたよ。どうやら、はまちゃんでは、カラオケも定番の楽しみ方なのだそう。

と、女将さんが自ら選曲されたのは、「わたしの門前仲町」という、まさにこの土地にピッタリの曲。女将さんも歌うことが大好きなようで……。

カウンターから出てきてくださって、みんなで大盛り上がり!門前仲町にまつわる歌詞が散りばめられていて、しっとりと聞き惚れます。

ほかの常連さんたちも、実にお上手!まるでコンサート会場に来たかのような音響の良さも相まって、ゆったりとほろ酔い気分です。

50歳で店を始めて、13年間働き続けてきた人生

本当にお元気でたえず何かをされながら、客席へ細やかな気配りもされている女将さん。「以前まで、お惣菜屋さんをしていたんです。だから、料理もおいしいと言ってもらえると、働いていてすごく嬉しいわね。おいしい食事とおいしいお酒と、楽しいカラオケが一番だもの!」

今でも優しい目元が変わらないお姿

今でも優しい目元が変わらないお姿

「昔と比べると、ちょっと横に広がったんですよ(笑)。でも、割烹着が似合うようになったので、お客さんからホッとするって喜ばれます。おふくろの味って、安心するからね。」そういえば、ゴーヤが採れる畑って、どこにあるのだろう。

自家製ミニトマトも果汁たっぷり!

自家製ミニトマトも果汁たっぷり!

「ここからちょっと行ったところに、区民農園があるんです。トマトや茄子、ピーマンなど、朝採りを料理に使うんですよ。体にいいものを食べれば、元気になれるから」とおっしゃる女将さんこそが、とってもパワフル。1年365日、ほぼ休みなくお店に出続けているのだそう。

「たまの休日はゴルフと釣りよ。バイクに乗って、スーッと遊びに行っちゃうの(笑)」こちらまで、元気をいただいちゃいました。

「いつも取材は、テレビも雑誌もお断りしているの。でも、今回は、タイミングとか気持ちが合ったのかしら。こういうのが、本当のご縁なのだと思います。ぜひまた来てくださいね!」と、お見送りしてくださった女将さん。

父や母ほどの年齢の方々と、おいしい食事と酒を味わいながら、趣味の話で盛り上がれるなんて、本当に貴重な時間。また来たいと思わせてくれる、自分の家が増えたような気分に包まれながら、お店をあとにしました。ぜひ、下町情緒の味わえる門前仲町で、元気で優しい女将さんと、身も心も癒される家庭料理で、日常を忘れてみませんか?

はまちゃん
住 所
東京都江東区富岡1-3-9
電 話
03-5245-4050
営業時間
ランチ[月・火・水・金・土] 11:30〜14:00 ディナー[ほぼ365日] 18:00〜23:30 ※営業時間はその日によって変動もあります
定休日
ランチ[木・日・祝祭]  ディナー[ほぼなし]
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