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連載:国民支持率No1メニュー"焼肉道"の極め方

”神戸ビーフとして生まれてくる子牛はいない”。選抜されるエリート牛「 神戸ビーフ」の基礎知識

なぜ、人はこんなにも焼き肉に惹かれるのか。

肉が好きだから? ただ焼くというシンプルな調理法だから? それともみんなでワイワイ焼くというプロセスまでも楽しめるから? 

国民支持率No.1メニューと言っても過言ではないメニュー「焼き肉」の極め方を、焼き肉マニア小関氏が語り尽くすこの連載。

今回は、これを語らずして焼肉は語れない、高級ブランド牛「神戸ビーフ」について紹介する。

ライター紹介

小関尚紀
小関尚紀
リーマン作家/MBA/Yakiniku Journey(焼肉探検家) サラリーマン、作家。早稲田大学大学院修了。経営学修士。『焼肉の達人』(ダイヤモンド社)、『世界一わかりやすい「ゲーム理論」の教科書』(KADOKAWA 中経出版)など単著5冊。趣味の焼き肉は、予約困難店含め200店舗以上を訪店。日々、セクシーミートを探索しつつ、美しく、美味しい焼き方を独自に研究している。

神戸ビーフとして生まれてくる子牛はいないという驚愕の事実

日本4大和牛をご存知でしょうか?
松坂牛(三重県)、米沢牛(山形県)、近江牛(滋賀県)、そして神戸ビーフ(兵庫県)です。

海外でも神戸ビーフの知名度がダントツで、2009年、米国メディアが選ぶ「世界で最も高価な9種類の食べ物」の中の堂々第6位に選出されました。

「Kobe Beef」は世界で最も高級な牛肉として海外でも広く知られ、高級ブランド牛の代名詞となっています。

そんな神戸ビーフですが、ブランド牛としての知名度が先行するあまり、実はあまり知られていないのが「神戸ビーフとして生まれてくる子牛は、一頭もいません」ということ。

ん、どういうこと?と思った方は多いのでは。では、説明しましょう。

兵庫県内の指定生産者のもとで生まれた但馬牛の子牛の中から、神戸肉流通推進協議会の定めた一定の品質基準を満たした最低月齢28か月以上の個体を、平均32か月程度かけて理想の肉質に近付けていきます。

肉質を見て判断し、選抜された牛だけが神戸ビーフの称号を得ることができ、神戸ビーフの証であるのじぎくマークを押印されることが許されるというわけなのです。

つまり、生きている状態では、神戸ビーフと判断できませんので、厳密には、屠殺してみないとわかりません。

但馬牛は牛のことで、神戸牛はお肉の名称になります。但馬牛も実は1,200年の歴史があり、和牛の元祖ともいうべき凄い存在の牛です。

肉牛の素になる素牛(もとうし)として、日本全国の黒毛和牛の90%以上の素牛になっています。

過去に但馬牛の子牛を買って帰り、自分の地域で改良を進めてブランド牛とした前沢牛、仙台牛、飛騨牛、佐賀牛等にも但馬牛の血が受け継がれています。

「但馬牛」の定義
兵庫県産(但馬牛)とは、本県の県有種雄牛のみを歴代に亘り交配した但馬牛を素牛とし、繁殖から肉牛として出荷するまで当協議会の登録会員(生産者)が本県内で飼養管理し、本県内の食肉センターに出荷した生後28ヶ月令以上から60ヶ月令以下の雌牛、去勢牛で、歩留・肉質等級が「A」「B」等級以上とし、瑕疵等枝肉の状態によっては委嘱会員(荷受会社等)の確認により、判定を行う。尚、兵庫県産(但馬牛)を但馬牛、但馬ビーフ、TAJIMA BEEFと呼ぶことができる。
>引用:神戸肉流通協議会サイト

「神戸ビーフ」の定義
「神戸肉・神戸ビーフ」とは、「兵庫県産(但馬牛)」のうち、未経産牛、去勢牛であり、枝肉格付等が次の事項に該当するものとする。尚、神戸肉・神戸ビーフをKOBE BEEF、神戸牛(こうべぎゅう)(こうべうし)と呼ぶことができる。
 ✔ 歩留・肉質等級[A][B]4等級以上を対象にする
 ✔ 脂肪交雑のB.M.S値NO.6以上とする
 ✔ 枝肉重量:雌 230㎏-470㎏、去勢260㎏-470㎏以下とする
>引用:神戸肉流通協議会サイト

上記に出てきた「B.M.S.」とは、ビーフ・マーブリング・スタンダードの略で「脂肪交雑」を評価する為の12ランクの基準です。

つまり、上記の条件を満たした但馬牛の中から、神戸ビーフに選抜され、高付加価値牛にランクアップするということになります。但馬牛、神戸ビーフの条件を表にまとめました。

★ 牛の格付けは歩留まり等級と肉質等級で決定
★ 歩留まり等級(A-C)一頭からとれる可食部分の割合[A]72%以上  [B]69以上-72%未満 [C]69%未満
★ 肉質等級(1-5)脂肪交雑の度合いや色、きめ細かさ、脂質などを総合判断
★ B.M.S.  脂肪交雑を評価する為の基準。NO.1-NO.12ランクあり、NO.12が最良

出所)神戸肉流通協議会のサイトを元に筆者が加筆、作成

エリート牛・神戸ビーフの食べ放題が東京に存在していた!

そんな神戸ビーフの美味しさを世の中に伝えたいと2017年6月から食べ放題にしている焼き肉屋が浜松町にあります。そのお店とは、神戸びいどろ浜松町店神戸ビーフと一部、A4等級の黒毛和種を使用しております。

神戸牛ビーフの特徴は、脂肪のオレイン酸含量が多く、融点が低いことです。

脂肪の融点が低いと口に入れたとき、脂肪の口どけが早く溶け、きめ細かく上品な甘みと、なめらかさを感じます。

私も中年焼肉ライターなので、融点の高い霜降り牛は食べ過ぎると翌日に胃もたれし、厳しくなってくるお年頃です。ですが、訪問当日、食べ放題メニューを食べすぎたにも関わらず、翌日、胃もたれしませんでした。

食べ放題だからと言って肉質を落としているわけではありません。神戸びいどろでは、中西牧場グループの牛にこだわって仕入れています。

銘柄牛も大事なポイントですが、牛肉は今後より、ワインのように誰がこの牛を肥育したか?ということが大事になってきます。

他の銘柄牛でも言えますが、銘柄牛の定義は血統と生産地だけで、エサなどの環境が含まれていません。同じ血統の神戸ビーフでも育てる肥育農家の環境、エサによって、味わい、風味が変わってきてしかるべきなのです。

中西牧場グループは、神戸ビーフを管理する神戸肉流通協議会で何度もチャンピオン牛を輩出している名門の肥育農家です。格付けより厳しいといわれるのが、中西牧場基準の神戸ビーフです。

さらりと解ける脂、風味を是非、食べ放題で食べ過ぎるくらい味わいたいものです。

食べ放題は、1万800円、8,640円、6,480円(全て税込)のコースがあり、当日、飲み放題を含めた1万800円のコースをいただいたのですが、神戸ビーフの希少部位、名物の肉鍋も内容に含まれます。

その中で特にオススメは、近年、スター部位の座を確立しつつあるザブトン(関西ではハネシタ)です。

肩ロースからとれる最上級部位で、牛一頭から3キロ~4キロしかとれない希少部位です。

見た目にも美しいサシが入っており、すき焼き用の肉としても重宝されています。

塩味をさっと炙って、山葵をつけて食べるも良し、タレ味にして焼き、卵を潜れせて白飯と一緒に食べるにも良い部位です。

ちなみに、食べ放題は、神戸びいどろの中で浜松町店のみ提供されています。

神戸びいどろ 浜松町店
住 所
東京都港区海岸1-2-3汐留芝離宮ビルB1階
電 話
03-5473-3729
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