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連載:人生最高レストラン

森公美子のフカヒレ愛が深すぎる!千駄木を見守る「天外天」の極上の一皿

誰しも、人生で一番美味しかった料理がある。味はもちろん、共にいた仲間。感じた想い。交わした言葉。目にした風景…。様々なことが重なり合って、美味しい想い出を創り上げている。

そんな、忘れられない最高の料理を語る番組『人生最高レストラン』。これは当番組で紹介された一品を、ライター松浦達也が実際に食し、その想い出を追いかけた記録である。

ライター紹介

松浦達也
松浦達也
ライター/編集者。「食べる」「つくる」「ひもとく」を標榜するフードアクティビストとして、テレビ、ラジオなどで食ニュース解説を行うほか、『dancyu』から一般誌、ニュースサイトまで幅広く執筆、編集に携わる。著書に近著の『新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える』ほか『家で肉食を極める!肉バカ秘蔵レシピ 大人の肉ドリル』(ともにマガジンハウス)など。

いいフカヒレは、なんて罪作りなんだろう。

箸で割ったひと束をすっと箸で持ち上げ、トゥルンと口に滑り込ませた瞬間、全身が口という感覚器になったような恍惚感に襲われる。太い極上の束が口の中で一本一本の繊維にほどけながら、抱え込んだ極上のスープを口のなかに放つ。

正式な料理名は「紅焼排翅」――。オペラ歌手の森公美子さんが『人生最高レストラン』に出演した際、激賞したのが千駄木「天外天」のフカヒレである。

森さん曰く「明日死ぬなら? これを食べに行く」、「食べれば食べるほど腹が減る」、「皿まで食いたい」など、これでもかというほどの賛辞を連発していた。

「高級中華」とされるメニューのなかでも、フカヒレほど味の振れ幅の大きいメニューもそうそうない。フカヒレの身の味自体は淡い。

だからこそ戻しも含めた食感、ベースとなるスープの味、その含ませ方で味は決まるが、乾物を戻すところから含めて、時間と手間はやたらとかかる。

天外天の「紅焼排翅」はモウカザメのフカヒレをスープで3~4日かけて丁寧に戻す。

金色の餡は、金華火腿(金華ハム)に雲南火腿(雲南ハム)に老鶏など数種の肉を香味野菜と蒸し上げた清湯スープと、豚骨白湯スープをブレンドしたもの。

中国では各地でフカヒレの仕上げが異なるという。北京のようにじんわり煮含める地域もあれば、上海のようにしっかり煮込む地方もある。四川では白湯でフカヒレを煮たりもする。

オーナーシェフの中川優さんは、「日本の四川料理の父」陳建民氏の四川飯店出身だが、四川の手法だけにとらわれるのではなく、さまざまな手法を取り入れて「天外天のフカヒレ」の評判を押し上げてきた。

「和洋中、どんな料理もヒントにします。結局のところ、おいしくなるかどうかが基準ですね」

もちろん四川料理は天外天の土台。和えそばは辛味の「辣」、しびれの「麻」ともにきっちり効いている

もちろん四川料理は天外天の土台。和えそばは辛味の「辣」、しびれの「麻」ともにきっちり効いている

暇を見つけては、国内から海外まで食べ歩いた。ジャンルを問わずさまざまなエッセンスを貪欲に取り込み続けてこの11月、創業29年目に突入した。

千駄木という町は文人たちが居を構えた山の手の住宅街であり、寺町でもあった。

天外天では、七五三から長寿祝いのほか、慶弔含め無数の宴席や会食が行われてきた。長く営業を続けていれば「寂しい話ですが」去り往く客もいる。

30年近く、この地で鍋を振り続けた。3代に渡って通う客もいれば、この店で出会って家族になった客もいた。

このフカヒレは、ここに住まい、集う人々のさまざまな行事に立ち会ってきた。いままでも、そしてこれからも。

人生最高レストラン

TBSテレビ・土曜よる11:30〜 MC:徳井義実(チュートリアル)、笹川友里
ゲストの「人生で最高に美味しかったものの”お話”」が聞ける、新感覚・グルメバラエティ。「人生最高に美味しかったもの」を通して、その人の人となり、価値観、人生が浮かび上がる、まさに人と食は切っても切れない関係だということを教えてくれます。

次回1月6日(土)のゲストは、中井貴一さん。

心休まる週末の夜に、美味しい話、奥深い語らいで豊かなひとときを過ごしてみてはいかがですか?

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