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連載:芸人グルメ

関西のグルメ芸人シャンプーハット・てつじが語る「料理人と芸人、本質はよう似てる」

大阪芸人の中でもグルメといえばこの人!シャンプーハット・てつじ。 グルメロケはもちろんのこと、自らつけ麺屋「宮田麺児」をプロデュース。

「料理はエンターテインメント」というポリシーのもと、料理はもちろん料理人、食事の場をとことん楽しむ究極のグルメ道を教えてもらいました!

お笑い芸人

シャンプーハット・てつじ
シャンプーハット・てつじ
1975年8月7日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。テレビ「今ちゃんの『実は…』」(ABC)、「モモコのOH!ソレ!み~よ!」(関西テレビ)、ラジオ「松井愛のすこ~し愛して♥」(MBSラジオ)など出演中。著書に『関西グルメ王の人生が変わる店』(KADOKAWA刊)。

料理人と芸人はよう似てる

食事って僕にとってエンターテインメントなんです。

料理人って芸人と似てることに気づいて、割烹って料理人にとって劇場やなと思うようになってから、グルメを楽しみ始めました。

この業界にいると、いろんな方に高いお店に連れてってもらったりするじゃないですか。でも割烹とか行っても、おいしいのはもちろんおいしいんですけど、なんでこんなに高いのか、わけがわからなかったんです。

ただ、料理人さんと色々話してたらおもしろいなと。思ってることややってることが芸人さんと一緒だなと思って、自分でも通うようになりました。

芸人さんだって、舞台に立つ時、スーツとかお金かかるじゃないですか。それと一緒で、お皿の値段とかサービスの値段とか、そういうものも含めた共有の時間を一緒に過ごす値段って聞いた時に、逆に安く感じるようになったんです。

例えば、自分が江戸時代に作られた皿を一個一個管理して出すことにしたら、どれだけ膨大なお金がかかるのかと。

なので食事は、ご飯を食べに行ってるというより、人に会いに行ってる感じですね。

最高のスープは豚骨でも鶏ガラでもない”人柄”

最初に食べ歩くようになったきっかけはやっぱりラーメンですね。

大阪でバイトしてたときの先輩に、車で奈良の「彩華ラーメン」の屋台に連れて行ってもらったことがあって。味云々じゃなくて、食べに行くためだけに車で1時間ぐらいかけるという世界があるんだっていうのが新鮮で、「食べるだけがグルメじゃないんや」って思いました。

なかがわえつこさんの投稿より

なかがわえつこさんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE29/ARE281/SUB28103/100000436569/22791092/

それで、いろいろ食べてるうちに、味以外のものに気づき出したんです。「このラーメンを作ってるのはどんな人なんだろう」って、その奥を見たいなと。

そこから店の人に話しかけるようになって、その店主が独立するってなったらそこも行ってとか、影響された店を教えてもらってとか、つながりで店をまわるようになりましたね。

ラーメンに関する一番好きな言葉で「最高のスープは豚骨でも鶏ガラでもない、人柄」っていう言葉があるんですけど、結局ラーメンも人に会いに行ってるみたいな。

味が変わるとか、そういう作ってる人の個性も好きなので、やっぱり個人店がいいですね。

いつ行っても同じ味っていうのは寂しいです。割烹とか季節ごとにその時の新しい味があるのがうれしいんです。新ネタみたいなもんですよね。

仲よくさせてもらってるラーメン屋さんで有名な店は、上新庄の「天神旗」。

店主はとんこつラーメンのお店を九州でやってたんですけど、寸胴一つ持って東京に勝負しに来た人なんです。

とんこつを煮詰めて煮詰めて、最終的には寸胴に穴空いたって(笑)。王貞治でもそこまでできんやろってくらい手にタコができてるし。

とにかく変わった人なので、麺も色々気になってきて自家製麺を作って、細麺以外も作りたくなってきたそうで、国内産の小麦だけを使って太麺作って、合うスープを考えたら醤油だってなって、さらに麺にこだわってもう“かんすい”を入れるのも嫌になってきて、小麦と水と塩で麺を作ったんですよ。

それで「すごい麺ができたぞ!」って奥さんに言うたら、「それ、うどんやで」って(笑)。すごいですよね。

結局ほんまに一時期うどん屋やったんですよ。そういう話を聞くのが大好きです。

Hirokazu Ishimura さんの投稿より

Hirokazu Ishimura さんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE27/ARE88/SUB8804/100000087415/647747/

ラーメンは好きですが、食の好みは特にないんですよ。しゃべりに行ってるというか、情報を仕入れに行ってる感覚なので。

深津絵里みたいな小籠包、ひたすらウマい!

ただ、今、ひたすらハマってるものがあって。東京の恵比寿に本店がある「京鼎樓」の小籠包。

久しぶりに来た「ひたすらウマい!」やつですね(笑)。

僕、小麦が好きで、小麦でできているものは全部麺と捉えてるんですけど、それで言うと、小籠包って麺の中にチャーシューが入って、スープが入ってるみたいな。すすらない麺という感覚です。

いろんな小籠包のお店に行きましたが、ここの小籠包は群を抜いてうまい。人から聞いて知ったんですが、三ノ宮にもあるって知って、もちろんどっちも行きました。

個性のある味じゃないんです、北川景子さんみたいに誰が見てもめっちゃきれいな小籠包ってことじゃなくて、深津絵里さんみたいにあえて脇役にいる欠かせない存在のようなおいしさです。

Ban Amano さんの投稿より

Ban Amano さんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE7/SUB701/100000745000/495121/

ラジオでグルメコーナーを10年やってるので、こういう例えは自然と鍛えられましたね。映像がないので、どう伝えようかと思うと例えしかないですから。

実は意外とラジオのほうがみなさん店に行きたくなるんですよね。テレビのように映像でそのものが出ると、答えがわかってるから「これやったらええわ」っていう人と、「これやったら行く」って人に分かれるんです。

けどラジオで今みたいに「深津絵里みたいな小籠包」って言うと、「なんやそれ行ってみよう」ってなるでしょ。

山ほどある日本酒を自分で選べるようになったらと唎酒師の資格を

テレビでもグルメロケをやってるので、「お店教えてください」ってめっちゃ言われますね。そういうときは、その人の状況を全部聞きます。誰と、いつ、払える値段とか、それで絞っていきます。

例えば大阪で芸人同士で4、5人で、となったら、オススメは「日本酒 弘大」さん。ここは、腹話術師の川上じゅんさんの同級生の弘さんがやってるお店なんです。

とにかく気のいい店主さんで、アットホームなんです。

「刺し身ちょっと多めに」とか「この日本酒一口欲しい」とかも聞いてくれるし、メニューもあるんですが、いつもお任せでいろいろ作ってくれて。

特に魚のフライがめっちゃおいしいです。金目鯛とかカツオとか、その日のオススメをフライにしてくれます。

Yoshitaka Shimizu さんの投稿より

Yoshitaka Shimizu さんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE27/ARE618/SUB8903/100001185913/18631401/

唎酒師を取ったんですが、実はお酒はあんまり強くないんです。でも、お店で「日本酒ください」って言って、全然知らないオススメのお酒をいただくのが嫌だったんです 。

TSUTAYA 行って「映画貸してください」って言って、店員さんにわけわからん映画オススメされるのと一緒じゃないですか。

山ほどある日本酒の中から自分で選べるようになったらいいなと思って取ったんですけど、そしたら日本酒よりも杜氏の人に興味が出てきて。料理人と一緒で変な人めちゃめちゃ多い(笑)。

酒屋さんもよく行くようになりました。「おいしいお店に行きたかったら酒屋に行け」と言う僕の名言があるんですけど、こだわってる料理人さんって、最終的にはお酒もこだわって、「この料理に合うお酒は何やろ」って蔵とか行き出すんですよね。

で、その酒が欲しいとなるとそれを扱ってる酒屋さんにピンポイントで行くんですよ。なので酒屋さんはその店の情報めちゃめちゃ知ってる。

僕も仲よくなった酒屋さんから「このお店にこの酒をおろしてるから絶対おいしい」とかいろんな情報を聞いてます。

美味しいお店にはFacebookで繋がっているグルメ仲間と

僕自身が行くお店は、ある程度一週間のスケジュールを見て、「ここ空いてるからどこか行こうかな」とか、そういう感じですね。何人かグルメ仲間がいるんですけど、 Facebook では“キャンセル同好会”みたいな仲間と繋がってるんです。

予約取られへんお店にタイミングよく行けたら、そこで3ヶ月後とか、取れる日を予約するんです。で、日が近くなったら Facebook のグループで「ここ押さえてるけど行きませんか」みたいな呼びかけ合いをするっていう。

お店の方との信頼関係もあるメンバーなので、「急遽キャンセルが出ました」って連絡をもらうと、行けるメンバーですぐ行くとか。メンバーはこの業界とかではなく一般の方ですよ。

仲間の中に、堺にある「生ホルモン処 おさむちゃん。」って有名な焼肉屋さんをずっと予約してる人がいて、タイミングがあったら行かせてもらってますね。

ここはでっかいローソンの駐車場の一角にある、カウンター5席しかない掘っ立て小屋みたいなお店なんですが、店主のおさむちゃんのしゃべりがおもしろいんですよ。

もう来年の予約は全部埋まってるかもしれませんね。年に1回か2回行けたらいいほうです。

Yoshinori Kimura さんの投稿より

Yoshinori Kimura さんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE27/ARE87/SUB8701/100000763000/23535702/

料理で大事なのは「作っている人」という本質を見失いたくない

人に興味があるので、伝説の料理人って聞くとやっぱり会いに行きたいですね。焼き鳥のお店とかで、もうほぼ指焼いてるんちゃうかみたいな人いるじゃないですか(笑)。

ああいう人が好きで、最近テレビで見た、囲炉裏で魚を一匹をじっくり焼くお店とか。滋賀にツキノワグマを食べさせてくれる「比良山荘」も。ここには専属の腕利き猟師さんがいて、その方が一発で仕留めた新鮮な肉だからおいしいんだと。

あと、最近ビックリしたのが、楽屋見舞いで誰かが持って来て下さった「天のや」のタマゴサンド。東京のお店で大阪に支店ができたと聞いて、「あれ?」って。おかしいなと思ったんですよ。

なんで東京にこんなだしの卵焼きがあるんだろうと。気になったら何でも調べないと気が済まない質なので、調べたらやっぱり元々大阪のお店でしたね。宗右衛門町でやってたお好み焼き屋さんが、東京で勝負するということで出した店やと。東京にこのだしの発想は絶対ないと思ったら、やっぱりそうでした。

Hiroki Noguchi さんの投稿より

Hiroki Noguchi さんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE13/ARE14/SUB1405/100000009403/12857506/

いろんな店には行きたいですが、新しいから行くとかではないですし、とにかく数いっぱい行くコレクターにはならんとこうと思ってます。

『関西グルメ王の人生が変わる店』(KADOKAWA刊)という本を出させてもらったんですが、芸人として大切なことはすべてレストランから教わったと思っているので、芸人として、トークイベントやったり、テレビ出たり、いろんな場で、いろんな店の素敵な情報を伝えていきたいですね。

つけ麺の「帰ってきた宮田麺児」をプロデュースしたみたいな感じで、グルメ全般のプロデュースもぜひやりたいです。

Ayako Okamoto さんの投稿より

Ayako Okamoto さんの投稿より

画像引用元:https://retty.me/area/PRE27/ARE94/SUB9401/100001264084/22287064/

よく「料理しないんですか」って聞かれるんですが、僕が料理をしだすと料理人の腕とか気になって楽しくなくなると思うんです。料理人の方が「俺もおもろいねん」ってギャグとかしたら芸人としては困るじゃないですか。

それと一緒で領域に入ったらあかんと思うんです。料理人は作るプロ、僕は食べるプロ。

僕が料理人になるわけじゃなくて、テレビの構成考える作家さんと一緒で、メニューを考えたりとか、いろんなアイデア出したり、そういうプロジェクトやりたいですね。

食事もエンターテイメントですから、ぜひもっと楽しんでもらいたいです。ただただ値段だけ気にして楽しめてない人多いじゃないですか。

すべての値段には理由がありますから、直接お店の人に聞いたらいいんです。一番大事な“作ってる人”っていう本質を見失わないでほしいです。

「最後の晩餐」もよく聞かれるんですが、なんでしょうね。一食では終わらないと思いますよ。ここ行って次はあそこ行ってって。1日じゃ終わらないですね(笑)。

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