こんにちは、酒場案内人の塩見です。
ライター紹介
最近は大衆酒場ブームで、テレビ番組やグルメ雑誌でも酒場が取り上げられる機会が増えました。皆さんも、昔ながらの渋いお店で飲んでいますか?
どうしても大衆酒場というと、大手チェーン店と対称的な存在で、個人経営の昭和酒場のイメージが強く、"有名チェーンを卒業したら飲みに行く店"……そんなふうに思われがちです。
もちろん私も、昔ながらの家族経営の"ザ・大衆酒場"が大好き。
ですが、今回はあえてチェーン店にスポットライトを当ててみたいと思います。友だちとプライベートで飲みに行くのは、実はこっちのほうが多いんです。
チェーン店はどれもファミレス的なのか?
ボックス席に、お決まりの写真がキレイなブックメニュー。大学生アルバイトの店員さんがマニュアル通りの接客をして、料理は特別でもなければ、特別ハズレでもない。そんなイメージが少なからずあるチェーン店です。
チェーン店が大衆酒場ではないというわけではありません。
むしろ、創業から長い歴史のある暖簾には、街場の個人酒場以上に、人情味と成熟した店の良さがあるかもしれませんよ。
そんなチェーン店を紹介する企画の第一弾は、一度は目にしたことがある「養老乃瀧」です。
創業は1961年、横浜ではじまった居酒屋・養老乃瀧は、居酒屋チェーンのはしりとして日本全国に出店し、酒場というのはこういうものだという、ひとつの「パッケージ」をつくった暖簾です。
養老乃瀧で修行した人たち、養老乃瀧を参考にした人たちは多く、いま人気の老舗店も、過去には養老乃瀧で出発した…なんてお店もあるほどです。
老舗ならではのエピソード
漫画「キン肉マン」で、作中に主人公のキン肉マンは、好物に牛丼をあげていますが、実はこの牛丼とは養老乃瀧のものという説も(*諸説あり)。
かつて昼食時は、牛丼を提供していた養老乃瀧。
居酒屋ではあるものの、街の食堂兼、酒場的な存在だったことから、食事利用も多かったようです。
黎明期には焼鳥を、その後は魚介が加わり、洋食から中華、牛丼まである、「総合居酒屋」のひとつの完成形となり、いまに至ります。
居酒屋チェーンとして始まる前は、1938年創業の長野県松本市の食堂だった過去があるので、正当進化といえますね。
また「養老ビール」も、養老乃瀧を話すなら切っても切れないもの。
いまではコンビニブランドが入る限定ビール(プライベートブランド)が当たり前になりましたが、養老ビールはそんなプライベートブランドの元祖です。
養老ビールの登場は、当時新聞記事になるほどの大事件だったそう。以来、現在に至るまで養老ビールの名が入った特別ラベルが続いています。
養老乃瀧は良いお店か。
昔からあるチェーン居酒屋。行ったことがないという人も多いのでは。なんだか、古い感じがする……。
それはそう、だって半世紀続いているのですから。
むしろその長い歴史は、いまの昭和酒場ブームにあっては魅力的に感じませんか。作られた昭和ではなく、ちゃんと毎日のお客さんたちが繋いできた暖簾なのですから、ウソが効きません。
養老乃瀧の本社は池袋南口(メトロポリタン口)の正面にあり、1階には養老乃瀧グループの一軒め酒場、そして二階には養老乃瀧の旗艦店があります。
標準メニューのほか、日替わりもあり、同社の海鮮業態「だんまや水産」と同様に、魚介類は旬のものをいれています。値段も360円(税別)〜と、大衆酒場価格です。
料理は専門化が進む昨今の酒場の内容にあって、特別に派手なものもなく、どっしり構えた王道の内容。
焼鳥やピザなどの定番が、一回り落ち着いた値段で楽しめます。
また、お店の人たちも長く続くだけあって、マニュアル一本のやり取りではなく、酒場らしい人付き合いができるお店が多いのも、ポイントが高いです。
養老乃瀧は、日常系の定番としてよき酒場
SNS映え系といえるかといえば、そうでもないですし、派手さはありません。
でも、長く続くお店ならではの安定感が魅力です。
仕事終わりのちょっとした飲みのときに、有名酒場に並ぶのは大変です。「軽く、サクッと飲んでいく?」という時にこそ、安定の養老乃瀧がいい仕事をしてくれます。
お客さんの層も落ち着いていますし、店員さんも慣れている人揃い。余計な心配やストレスなくのんびり過ごせる、よきお店です。
一人飲みにも優しく、使い慣れると新しいお店の開拓ができなくなるかも?
はじめての方も、お久しぶりの方も、昭和のチェーン酒場を代表するブランド「養老乃瀧」を肩肘はらずにぶらりと立ち寄られてみてはいかがでしょう。
一周回って、昭和暖簾がいいものです。
- 養老乃瀧 池袋南口店
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東京都 豊島区 西池袋
居酒屋