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連載:国民支持率No1メニュー"焼肉道"の極め方

ドライエイジングVSウェットエイジング徹底比較。今さら聞けない熟成肉ブームの背景

なぜ、人はこんなにも焼き肉に惹かれるのか。

肉が好きだから?ただ焼くというシンプルな調理法だから?それともみんなでワイワイ焼くというプロセスまでも楽しめるから?

今や、国民支持率NO.1メニューといっても過言ではないメニュー「焼き肉」の極め方を焼肉マニア小関氏が語りつくします!

ライター紹介

小関尚紀
小関尚紀
リーマン作家/MBA/Yakiniku Journey(焼肉探検家) サラリーマン、作家。早稲田大学大学院修了。経営学修士。『焼肉の達人』(ダイヤモンド社)、『世界一わかりやすい「ゲーム理論」の教科書』(KADOKAWA 中経出版)など単著5冊。趣味の焼き肉は、予約困難店含め200店舗以上を訪店。日々、セクシーミートを探索しつつ、美しく、美味しい焼き方を独自に研究している。

2015年に熟成肉・塊肉のムーブメントが起こり、今でも熟成肉人気は継続しています。

それまでの肉愛好家にとって、熟成肉や塊肉は馴染みが薄かったと思いますが、この時、肉は熟成させて塊で焼いた上カットして食した肉が美味しいという認識が広まりました。

熟成肉も塊肉も赤身肉が主流になりますが、熟成により、肉自体が持つ酵素の働きによってタンパク質が分解され、旨味成分であるアミノ酸を生成します。結果、肉の旨味や風味が増し、肉が柔らかくなり、肉の水分が蒸発して味も濃厚になります。これが「熟成肉」という状態です。

今さら聞けない日本における熟成肉ブームの背景

熟成は、日本でも以前から、肉を枯らす、肉を干すということで実施されてきたので目新しい技術ではありませんでした。

ただ、「熟成」という枕詞がついたことで、一大ムーブメントになったのは、2013年にBSE問題で一時ストップ気味になっていた米国産牛が再度輸入されるようになったことに起因しています。

同時に、熟成を売りにするアメリカの人気ステーキハウスがこぞって東京で、オープンしたからです。 

・2014年2月 「Wolfgang’s Steakhouse」(東京・港区六本木)
・2014年9月 「BLT STEAK」(東京・港区六本木)
・2016年11月「ALEXANDER’S STEAKHOUSE」(東京・港区東新橋)
・2017年6月 「BENJAMIN STEAK HOUSE」(東京・港区六本木)
・2017年10月 「Empire Steak House」(東京・港区六本木)

なぜ、アメリカのステーキハウスが来ると熟成肉がブームになったのでしょうか?

アメリカのステーキハウスが使用する牛のメインはブラックアンガス牛になります。正式名称はアバディーン・アンガスとする「アンガス牛」。スコットランド東部にあるアバディーシャイア、アンガスの2つの州が原産地と言われており、アメリカを中心に世界で広範囲に生息しています。

この「アンガス牛」はやわらかい肉質が特徴的ですが、和牛にくらべると、霜降りも入りにくいですし、硬いと感じるかもしれません。そこで、アメリカのステーキハウスで熟成の技術が発展し、日本にも熟成肉を引っ提げてオープンし、人気を博してきたというわけです。

二つの熟成方法「ウェットエイジング」VS「ドライエイジング」

その熟成には代表的な二つの方法があります。それが「ウェットエイジング」と「ドライエイジング」です。まずそれぞれの特徴を整理してみました。

【ウエットエイジング】
1)手法
塊ではなくパーツごとに分けて熟成
肉が外気に触れないように部位ごとに真空パックをして0〜2℃の貯蔵庫で1〜2週間寝かせる

2)歩留まり
ドライエイジングと比べて水分があまり飛ばずに肉の質量が減らずに歩留まりが良い

3)メリット・デメリット
温度や湿度の管理の手間があまりかからないメリットがある。一方でドライエイジングにくれべて肉の熟成が進みにくい

4)香り
チーズやバターのような芳醇な乳製品のような熟成香を楽しむことができる

5)味わい
ねっとりしていて柔らかい

【ドライエイジング】
1)手法
骨つきの枝肉や塊肉のまま熟成
1〜3℃に温度が保たれた貯蔵室で2週間〜2ヶ月の間、適度な風を当て貯蔵

2)歩留まり
エイジング後は肉の表面にカビが生えるため、カビ部分をトリミングするので歩留まりが悪い

3)メリット・デメリット
タンパク質の成分変化による旨味は増加。貯蔵室の湿度を60〜80度前後に保ち、風は温度と湿度のバランスを見つつ調整するなど、繊細な技術が必要

4)香り
ナッツのような独特の香り

5)味わい
アミノ酸の増加による圧倒的な旨み。余分な水分が抜け、肉質は柔らかく、さっぱりしている

いかがでしょうか?熟成と一口に言っても大きく異なることがわかります。

「ウェットエイジング」と「ドライエイジング」を食べ比べてみた

ウェットエイジング

・お店:炭焼喰人 三宿

・食べた部位:ランプ

香りは、本当にチーズとかバターとか乳酸菌系の芳醇な香り。食感は、塊なのに本当にねっとりという表現が合うような、まとわりつくような感じで柔らかい。あまりに柔らかかくなり、自分の体重を支えられない肉も。

ランプ以外の部位も

ランプ以外の部位も

ドライエイジング

・お店:Aging Beef

・食べた部位:ランプ

やっぱりナッツの香りが。食感でいうと、歯応えは、ドライエイジングの方がありました。咀嚼を重ねるごとに旨味を味わえます。

他の部位も美味だった

他の部位も美味だった

どちらの熟成が優れているというのはありません。自身が意識して食べ比べをしたことがなかったので、改めて食べ比べてみると、やはり、整理した特徴が明確にあらわれるものだと認識できました。特に香りと噛み応え。是非、トライしてみてください。

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