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【福岡メシの隠し球】「びっくり亭」の焼肉が最強ウメー!油と辛味噌がスパークするソウルフードに迫る

福岡のご当地グルメというと、真っ先に明太子豚骨ラーメン水炊きを思い浮かべやしないか!?

突然の質問、失敬。

地元に愛される大衆食を求め東奔西走するライター、刈部山本です。

刈部山本

刈部山本(かりべ やまもと)
刈部山本(かりべ やまもと)
自家製ケーキの通販や間借り営業をしながら、郊外や路地裏にある町中華・食堂・酒場といった大衆食を巡りつつ、その土地にならではの文化を紹介するブログやミニコミ誌を発行するライター。「町中華」「しっとりチャーハン」の発信者であり、既に閉店した店しか載ってないガイド本や、ギャンブル場めし愛好家としてメディア露出も。2018年5月に光文社より路地裏のメシ屋を巡った文庫『東京「裏町メシ屋」探訪記』を発売。

いやいや、最近ではウエストに代表される柔らかい博多うどんもあるぞ!

という御仁も増えていることだろう。

観光客向けの店ばかりではない、地元民が通う店もだいぶ認知されるようになった感もある。

が、まだまだ知られていない本当のネイティブの通う店が潜んでいた。

それが「焼肉」だ!

焼肉? そんなもん、ただ肉を焼くなんてどこでも一緒だろ。せいぜいご当地のブランド牛を焼くだけじゃないの?

と思われるだろう。かくいう僕も最初はそう思っていた。

しかし、福岡で焼肉というと、イコール「鉄板焼き」のことなのだ。

それも鉄板で焼いた肉がただ出てくるだけではない。独自の鉄板焼きスタイルが構築されているのだ。

真相を探るべく、一路福岡へと飛んだ。

「びっくり亭 本家」へ

福岡空港を降り、JR南福岡駅へ向かう途中、鉄板焼肉を謳う店に何度も遭遇した。

地元民いわく、その鉄板焼きが発祥した「びっくり亭 本家」の人気にあやかろうと、「元祖」を名乗ったり、本家の店名に一文字加えた店が市内を中心に乱立しているとのこと。

どんだけ人気あるんだ!?と、その存在すら知らなかった身からすると、本家本元に向かう道中の光景は驚きの連続となった。

創業昭和38年の本家に到着すると、線路脇の一角に余りに小ぢんまりと佇んでいる外観に一瞬通り過ぎてしまいそうになった。

しかし、よくよく近づいてみると、経年変化を漂わせつつ、それがかえって歴史の重みを感じさせる。老舗ならではのオーラがビンビンに伝わってくる。

中に入るともう煙がモウモウと立ち込めて、視界が半分ぼやけたような状態に。

カウンターやテーブルのほか、小上がり席も多く、既に地元民が身軽な普段着のまま、家族・カップル・部活帰りの学生同士などでワイワイ盛り上がっている。

圧倒的な地元感に気圧されていると、ハツラツとした従業員に人数を聞かれる。ここは混雑時のファミレスのように、名前と人数を紙に書いて待つのだ。

店内片隅にある椅子に座って待っていると、続々とツッカケを履いたお父ちゃんが子供をゾロゾロ連れて入ってくる。

小上がりが空いたので通されると、まるでどの地域でも駅前にあるやや大箱の家族経営の居酒屋に来た気分になる。

しかし、福岡の鉄板焼肉の店の面白いところは、アルコールがあるにも関わらず、居酒屋化していないのだ。

お客さんもひっきりなしに来るので、ゆっくり何時間も飲むといった利用は出来ないのかもしれない。

カップルもジモティ同士も、ビールやサワーなど大抵は1杯程度に留め、ガッツリ鉄板焼肉とご飯を食べて帰っている。

店員も注文を取りに来る際、焼肉のサイズとご飯をつけるかしか基本聞かない。

「鉄板焼きとご飯をひたすらに食え」と、そんな言葉がどこからともなく聞こえた気がした。

いざ、焼肉の登場!

しばらくすると、店員が焼肉一人前(800円)と御飯小(150円)を持ってやってきた。

おおっ、すげージュージューいってる!!

鉄板から表面から立ち込める煙がハンパない!

目の前に置かれても煙で焼肉の表面がよく見えない。ここまで豪快なのは、なかなかお目にかかれない。

東京では鉄板焼きハンバーグを食べる場合、紙を盾のように持って油の飛び跳ねをガードするが、そんなお上品なもんはここには存在しない。さっきから油を浴びっぱなしだ。

と、ここでぼーっと油が落ち着くのを待っててはいけない。鉄板焼肉の名物となる「ある儀式」を執り行う必要があるのだ。

割り箸や調味料が置かれる脇に、ジェンガのような木の棒が置かれている。

これで油が落ち着くまで積み木遊びをして待つ……わけがない。

なんと、鉄板焼きの片方の底面に差し込むのだ。

なにをするんだと、はじめての人は訳が分からなくなるだろう。

鉄板焼肉は、豚肉のサガリ(横隔膜の腰椎に接する部分)などの部位とキャベツをニンニクで炒めた料理。

さらに卓上に置かれた辛味噌を客の好みの量入れることで、独自の鉄板焼肉の味になる。

鉄板を斜めにするために、このジェンガみたいのを差し込むのだが、なんで辛味噌を混ぜるためにわざわざ斜めにすんの??って思うことだろう。

実は、鉄板に傾斜をつけることで、隅に豚肉から出た油が溜まり、そこで辛味噌と垂らし油を混ぜることで、独特の旨みが合わさった「味噌だれ」となるのだ。

これをキャベツや豚肉と混ぜながら食べて初めて、びっくり亭本家の鉄板焼肉が完成する。

▲卓上メニュー裏には食べ方が丁寧に解説されている

▲卓上メニュー裏には食べ方が丁寧に解説されている

まず、辛味噌をつけずにいただくと、最初ニンニクの風味がぐわぁっと口中に溢れる。

このニンニクだけで、少し焦げ目のついた豚肉やキャベツをガンガン食える。

これをご飯にあてると最強ウメー!!

▲ご飯にたくあんがついてるのが庶民派を物語っている!

▲ご飯にたくあんがついてるのが庶民派を物語っている!

ギアを一段上げるように、油と混ぜた味噌ダレをつけて食べてみる。

豚肉の芳醇な油の甘みをパンチの効いた辛みある味噌ダレが引き立て、また違ったワールドに仕上がるのだ。

さらにこれを米と食べると、米の甘みも加わって旨みが倍加!

辛味噌を調子に乗って多めにかけると辛さが勝ってしまうので、最初は注意しながら徐々に混ぜていく。

味噌が多いところ、少ないところを交互に食べるのが楽しい。

すると、いつの間にか鉄板のジュージューという飛び跳ねも落ち着き、気づけば鉄板に残った油に一生懸命キャベツの破片をこすりつけ、最後の一口をもったいなさそうに食べている自分に気づいた。

他の客にならい、食べたらさっさと会計。

いや~、焼肉、それも鉄板焼きなんてどこにでもあると思った自分が浅はかだった。

地元民が集う空間の末席を汚す形でお邪魔させてもらったが、これぞ地元文化というものを肌で感じた夜となった。

こういうのをソウルフードと呼ぶのだろう。

これは東京に持ち込んだらウケるかもなぁ……と思ったら、あらら、既に進出しているではないか…!?

この味が東京でも…!東京へ戻ると、さっそくそのお店の門を叩いた。

【続きは後編へ】

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