まだまだ残暑が続いていますが、暦の上ではもう秋。
秋といえば「食欲の秋」と言われるように、新米の季節でもあり、また芋、栗、松茸、秋鮭など秋の味覚が目白押し。
そんな秋の味覚の中から、今月は『さんま』をご紹介します。
気になる今年のさんまの漁獲量は?
2017年は例年に比べさんまの漁獲量がおよそ半分と非常に少なく「今までにない不漁」の年と言われました。
気になる2018年のさんまの漁獲量は海水温の上昇などの影響で、年々減少傾向にはあるものの、量、大きさ共に昨年を上回ると予想されています。
北海道沖から始まるさんま漁。さんまは北海道沖から太平洋側近海を南下していくうちに脂がのってきます。最も脂がのるのは、9月に北海道の道東や三陸沖、10月の銚子沖で獲れるものなのだそう。
さんまに大根おろしやすだちを添えると、栄養面でもうれしい理由
さんまの塩焼きにはよく、大根おろしやすだち、かぼすなど柑橘系のものを添えてありますよね。
脂ののったさんまと一緒に食べるとさっぱりして美味しいのはもちろんのこと、実は栄養面でもとても良い組み合わせなのです。
さんまをはじめとする青い背をした青魚は、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く、コレステロールを下げたり、血液をサラサラにしたりと成人病を予防する効果も期待できる脂肪酸が含まれています。しかし、このDHAやEPAは酸素に触れると酸化してしまう性質があります。
大根や柑橘類に含まれるビタミンCは強い抗酸化作用(酸化をしにくくする作用)があるため、さんまと一緒に食べることで酸化による劣化を防ぐことができるというのがその理由です。
どうして「目黒のさんま」?
東京の目黒では、毎年さんまの塩焼きを無料で提供する「目黒のさんま祭り」が開催され、人気を博しています。
でも、海に面しているわけでもない目黒でどうして「さんま祭り」が開催されるようになったのでしょうか?
実はこれ、ある落語の演目からきたのです。その落語はこんな内容です。
時は江戸時代、将軍様が鷹狩りに目黒へやってきました。
その時立ち寄った茶屋でさんまを食べることになりました。
焼いただけの素朴な料理、でも脂ののった旬のさんまは、普段手の込んだ料理しか食べていない将軍様にとって大変おいしく感じられました。お城に帰った将軍様、目黒で食べたさんまの味が忘れられず、家来にさんまを出すよう命じます。
ところが、お城の料理方、庶民が食するさんまなど将軍様に出したことがありません。 でも気を利かし、さんまを油抜き・骨抜きにして蒸し、食べやすいようにしてお出ししました。
それを食べた将軍様、何だかちっともおいしく感じられません。
そこで一言、「さんまは目黒に限る」と言ったとか。引用:目黒区ホームページ(http://www.city.meguro.tokyo.jp/gyosei/shokai_rekishi/sanma/roots.html)より
この落語がきっかけで「目黒のさんま」が有名になったのだとか。
普段から美味しいものを食べていたであろう将軍様も舌をうならせた旬のさんま。こんな話を聞いたら今すぐにでも食べたくなってきますよね!
塩焼きだけじゃない!旬のさんまの美味しさを堪能しよう!
さんまといえば、まず思い浮かぶのが塩焼き。もちろん塩焼きも美味しいけれど、旬のこの時期ならではの刺身やお寿司。変わりダネでさんまを出汁に使ったラーメンまで。さんまのポテンシャル、半端ないです!
さんまの刺身
さんまのなめろう
さんまの押し寿司
さんまの炊き込みご飯
さんま出汁のラーメン
いかがでしたか?
旬のさんまを食べて秋の訪れを感じてみませんか?
執筆・監修
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尾花友理
- 給食委託会社において産業給食、保育園給食などの献立作成及び給食管理、栄養相談など経験したのち、料理研究家のアシスタントとしてレシピ開発、料理講師、テレビや書籍の撮影アシスタントなどとして活動。その後、レシピサイト運営会社において管理栄養士として調理や食の安全に関す業務などに従事後、独立