食べ放題やバイキングというと、皆さんはどのようなお店を想像されるだろうか?
居酒屋などの飲み放題・食べ放題のほか、ホテルバイキングやランチビュッフェなどはマスコミでも頻繁に耳にするし、ビジネスホテルなども朝食バイキングなんて当たり前に見かけるようになった。
しかし、筆者のようなアラフォー、アラフィフ世代にとって、食べ放題といえば焼肉食べ放題!
子供時分の昭和末期には、ファミレスやハンバーガーショップのドライブスルーと並んで、幹線道路沿いには焼肉バイキングの店はかなり頻繁に見受けられる業態だった。
ローカルチェーンのような形で地方ごとに食べ放題チェーンがあり、中には全国展開するものも多く存在した。
客層はファミリーが中心だが、中高生の柔道部やラグビー部といったガタイのいいニイチャンが複数人でテーブルを占拠する姿もしばしば。
大食いチャレンジの店もあったが、当時は大食漢というと焼肉食べ放題に行くのが定番となっていた。
食べ放題は焼肉のほか寿司やアイスクリームまで食べ放題でき、子供にとってアイスが好きなだけ食べられるなんて、まるで天国のように思えたものだ。
ドリンクバーもあるところが多く、食べ放題に行けるというのはこれ以上ないご馳走であり究極の贅沢だった。
しかし平成に入ると、ロードサイドに食べ放題の文字を見かけなくなっていった。
そんな中、都心部で焼肉や寿司、スイーツ、ラーメンなどあらゆるものが食べ放題の店があるという話を耳にした。
調べてみると、「すたみな太郎」という店名がヒットした。なんとも元気がよく、食べ放題ならではのイメージ通りの店名に心が踊った。
子供時分に楽しみで仕方なかった焼肉食べ放題スタイルの店に出会える!こうなったら、郊外型の「すたみな太郎」へ行くしかない!
というわけで、東京から最も近い足立区の「すたみな太郎 西新井店」へGO。
ここが、すたみな太郎・西新井店だ!
正月になると厄除けで賑わう西新井大師から環七沿いに西新井駅へ向かう途中、万願寺前の交差点から尾竹橋通り沿いを北上すると、ロードサイドらしい大きな看板が見えてきた。
店内はソファーの四人席がズラリと並ぶ、まさしくファミレススタイル。なんと202席もあるという。
入って左右両サイドの壁際に、ドリンクバーやアイスクリームが並ぶコーナーと、焼肉用の肉や野菜の他スープや麺類のコーナーとに別れている。
案内された席に付き、火加減のことなど説明を受けた後、速攻で向かうはモチのロン、肉コーナーでしょ!
カルビやロースといった定番肉の他、ホルモンも充実している。
一番人気は中落ちカルビ。
特製ダレが既に揉み込まれているもみ込みカルビ。
それとマンゴーポークを皿に持って席へ。
さぁ、焼くぜ焼くぜ~
最近の焼台は優秀で、煙は多少出るものの、けむたさがほとんどなく快適に焼ける。
お店の注意書きにある通り、牛とはいえ赤いところがなくなるまで焼き、ご飯にバウンドさせて頬張る。
やっぱ肉、それも牛ですわ。中落ちカルビは厚みがあって、肉食ってる感がハンパない。
もみ込みカルビは味が既についてるから、甘辛いタレが馴染んでご飯の甘みとのコントラストが最高。
マンゴーポークはモチモチッとした食感で、柔らかくもジンワリ豚肉ならではの旨みが楽しめる。
普段あまり食べないからジャンジャン焼きたいところだが、年も年なのでそんなに食えない。だから若い時みたいに皿に山盛り肉を乗せることはしないが、それでもいくらでも食えるんじゃないかって錯覚を覚えるくらい、肉を焼くとテンションが上がる。
BBQだとフツーに家の中で食べるより異様に美味しく感じられたりするのは、ワイルドに焼いて食うという行為の持つマジックがそうさせるのだろう。
食べ放題の肉は質が心配というのは過去の話。写真を見てもらってもお分かりの通り、赤身が鮮烈だし、焼いても柔らかジューシー。
肉以外も充実する「すたみな太郎」
こうなると、ひたすらエンドレスで肉を食いたいところだが、これだけでは帰れない。季節メニューや食べ放題ならではのオリジナルな組み合わせも堪能したい。
卓上や店内壁面に案内があるので見てみると、カルビクッパのレシピが書かれていた。よし、試してみよう。
先ほどより大きめのお椀にご飯をよそい、そこに数種ある中からカルビスープをかける。そこにカルビを焼いて乗せ、別皿で取ってきたネギを散らして出来上がり。
また肉コーナーにはアルミの器に入ったすき焼きがあるのだが、これはそのまま焼き網の上に乗せ、数分ですき焼きになるというもの。
試してみると、網に乗せた瞬間、グツグツとアルミの底から泡立ってくる。中に油が入っていたようだ。
これによって、肉にもネギにも火が通り、卓上の焼肉のタレを入れると、甘じょっぱいすき焼きの味になるという。
また、ドリンクコーナーの横には綿アメが自分で作れるマシーンがあり、綿アメをすき焼きに乗せると溶け込んで甘さが増し、よりすき焼き感が出るという。
こういうの考えるのってスゲーな。でもこういう楽しみ方が出来るのは食べ放題ならではだよね。
他にも食べ放題以外の追加メニューがあって、お店の方曰く、それは250円ではまず出せないであろうサービスメニューになっているという。
ならばと好物の牛タンを注文。
これまた好物のネギが刻まれてタップリ投入されたネギ塩ダレに付けて食べるのだが、牛タンに乗せてご飯と食べてよし、適度な噛みごたえと濃厚な旨みが特徴のタンをネギでサッパリと堪能できる。
寿司もたくさん揃っているのだが、寿司との掛け合わせメニューも出来るというから驚きだ。
お椀にサーモンの握りを入れ、そこにうどんスープをかける。
すると、シャケのダシ茶漬けになるってんだから考えたもんだ。
箸でほぐしてみると、なるほど。不器用で見た目こそあまり良くないが茶漬けっぽくなった。
酢も適度なアクセントになって、シャケの身にも熱が入って白っぽくなり、味も全然アリ。これは面白い。
季節限定メニューまである
★秋メニュー★9/7(金)~秋の新メニューが登場!注目はすたみな太郎開業40周年スペシャル企画!3種類の麺を食べ比べて1番を決める『天下分け麺対決!』その他、すたみな太郎史上、究極&満腹のメニューが目白押し!是非お楽しみください! pic.twitter.com/pu7JOJRFcx
— すたみな太郎 by すたろ~ 【公式】 (@Stamina_Taro_) 2018年9月3日
季節モノでは、秋は「天下分け麺」と称して、ナポリタンと焼きそば、皿うどんが用意されていた。
こうした麺類とカレーなどは食べ放題ではもはや定番だが、こちらは太麺のガッツリ系で特徴を出してきている。
麺も箸休め的にオサレ系で落ち着かせるのではなく、女子ウケ無視で食べごたえ重視。ホント嬉しい。なんのために食べ放題来てるんだっつー話で。
で、これがどちらもハッキリと味付け濃いめ。スパゲティもザ・ナポリタンというケチャップ味で、焼きそばもスパイシーなソースがタップリ染みている。
そして麺が太いので、食べてる感が半端ない。かといってデロデロに伸びてはおらず、しっかりコシもあるのがポイント高し。
デザート的なものとしては、フルーツのほかに黄桃や寒天、ケーキにわらび餅まである。
プリンも捨てがたかったが、大好物のコーヒーゼリーを頂いた。食べやすくも香ばしいコーヒーのビター感がちゃんと生きていた。
こうしたレギュラーメニューの他に秋限定のスイーツも用意されている。
ぶどうの味がフレッシュそうだったし、ゼリーの食べ比べもしたかったので、ぶどうゼリーをチョイス。
甘酸っぱいぶどうの果汁のジューシーさがしっかり感じられるゼリーに、プルンと弾力あるホンモノの果実が乗っている。これは季節感もあるし、肉を食った後のリフレッシュにもピッタリだ。
いよいよ最後の〆は、アイスと行きたい。それもここはオリジナルに組み合わせたい。となれば、フロート行ってみますか。
コーラフロートが好物なので、まずは氷を入れたカップにコカコーラを注ぎ、その上にこれまた好物のチョコミントアイスをオン!
そのさらに上に自分でアイスクリームを巻きながら乗せるのだが、なにせ素人、見事に巻きを失敗!
さらに隙間からコーラの泡が湧き上がってきたぁぁ!
慌ててストローでコーラ飲むと、ハッカのようにスースーする。そらそうだ、チョコミント入れたんだから。
なんだか凄い味になったが、ソフトクリームがいいアクセントになって、コーラと交互に味わうと意外に美味しく味わえた。
こういう楽しい食べ合わせも、食べ放題の醍醐味でしょ。
ふうっ、まだまだ試せてないメニューも多いが、1度では味わいきれないのがすたみな太郎。
まずは好きなように味わって頂けたら、食べ放題の魅力を感じられることだろう。
- すたみな太郎 西新井店
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東京都 足立区 栗原
バイキング
そんなすたみな太郎を運営する会社は「江戸一」という1970年に創業した居酒屋の会社で、1978年に食べ放題のブランドとして足立区内の環七沿いにすたみな太郎をオープンさせた。
当時は食べ放題というとホテルのバイキングくらいだったところにファミレスのようなロードサイド店で展開を始めた。
自分が子供の頃に食べ放題が出来始めたと実感したのは80年代後半から90年代前半だから、それよりだいぶ早い。
開業当初から焼肉以外にも寿司のバイキングを既に始めており、競合他社がこれを真似していったものを自分は見かけていたのだろう。
時代は移ろい、多くは撤退する中、すたみな太郎は現在も約140店舗を全国に展開している。さきがけ的に業界を牽引してきた企業だからこその強さがあるのだろう。
当時の食べ放題が懐かしい、もしくは憧れていたが親に連れて行ってもらえなかった人は、すたみな太郎で食べ放題を満喫いただきたい。今でも当時のスタイルのまま、料理は時代に合わせて進化している。
知らなかった人も、昭和の元気がみなぎっていた頃のスタイルを実感して、今の時代をハツラツと生き抜くためのスタミナを補給してもらいたい。