なぜ、人はこんなにも焼き肉に惹かれるのか。
肉が好きだから?ただ焼くというシンプルな調理法だから?それともみんなでワイワイ焼くというプロセスまでも楽しめるから?
今や、国民支持率NO.1メニューといっても過言ではないメニュー「焼き肉」の極め方を焼肉マニア小関氏が語りつくすこの連載。
ライター紹介
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小関尚紀
- リーマン作家/MBA/Yakiniku Journey(焼肉探検家) サラリーマン、作家。早稲田大学大学院修了。経営学修士。『焼肉の達人』(ダイヤモンド社)、『世界一わかりやすい「ゲーム理論」の教科書』(KADOKAWA 中経出版)など単著5冊。趣味の焼き肉は、予約困難店含め200店舗以上を訪店。日々、セクシーミートを探索しつつ、美しく、美味しい焼き方を独自に研究している。
驚愕!スープだれで食べる焼き肉
ワタクシはYAKINIKU JOURNEYとして、平均すると週2以上のペースで焼き肉店を巡っております。
焼き肉は未だにブーム継続中という状況で、凄いところはブームの連続性があることです。
焼き肉(及び牛肉グルメ)が凄いのは、同じ牛肉を使って色んな部位、別の食べ方が次々と流行し、結果、ブームが継続されているという点。そう、非常に稀有な存在のグルメなのです。
ブームの輩出源がそれぞれ違っているのも、焼き肉の秘めたポテンシャルであり、グルメブームを牽引する価値ある現象です。
まぁ私、ブームに流されて平均週2ペース。これだけ焼き肉を食べ続けているので、多少のことで驚くことはありません。
ですが、舌の根も乾かぬうちに撤回します。
驚きました、スープだれ焼き肉。
焼き肉をなんと…「スープだれ」にドボンと落として、食べるというのです。
今回ご紹介する池袋の「小樽焼肉ぶいぶい」は、肉をつけダレにちょびっとではなく、ドボンとスイスイ泳がせる驚きの食べ方です。
まず、北海道はジンギスカン文化なので、誤解を恐れずに言うと、焼き肉後進エリアだと思っていました。
それが、スープで食べるという斬新さ。カレーかよ!また、小樽発というのは、驚きです。海鮮王国の小樽発祥という二度驚きです。
これは、焼き肉マニアの皆様に教えねば!ということで早速紹介します。
2018年6月オープンにオープンした「小樽焼肉ぶいぶい」
- 小樽焼肉ぶいぶい
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東京都 豊島区 池袋2
焼肉
小樽焼肉「焼き肉×スープだれ」のインパクト
スープだれ焼肉とは、北海道の小樽ローカルしか知らない、蕎麦湯のようなスタイルの焼き肉です。
小樽市民はまるで蕎麦湯感覚で、焼肉屋で残ったタレにスープを注いで飲む習慣があります。
あらかじめ小鉢に入っているタレと、肉や野菜から滲み出る旨味が丁度良い具合にブレンドされ、そこに熱々割り出汁を投入します。
すると、出汁と旨みたっぷりのスープに変貌するという訳です。
昭和40年代、お客さんが残したタレを捨ててしまうのはもったいないと考えついたという、創業50年小樽にある『焼肉・ホルモン三四郎』がスープだれの元祖。初代が考案したと言われています。
「ぶいぶい」では、スープ割だけではなく進化させ、追い麺、追い飯というメニューを考案しました。
これは本家の小樽でもやっていない方法だそうで、食べる肉で味が変わる面白さ。
牛メイン、豚メイン、海鮮メインだと、コッテリしたり、あっさりしたり、当然、味も変わります。
多くの人が知っている、焼き肉の常識とはひと味もふた味も違う「スープだれ」で食べる焼肉。
さすがスープカレー発祥の北海道だけあると思いきや、「小樽焼肉」と聞いてピンとくる人の方が少ないのです。
小樽のみのローカルスタイル焼き肉ということで、実は北海道民の多くも知らないという、非常に狭いエリアの常識的な食べ方です。
私も数回、小樽は訪問したことがあります。海鮮のイメージが強い小樽で食べたものと言えば、寿司、雲丹、Lutao、雲丹、雲丹、雲丹・・・で、スープだれ焼き肉は知りませんでした。
ちなみに北海道の友人、数人に聞いても一同声を揃えて「えっ!?何それ!?」と誰も知らない。ますます興味をそそる小樽焼肉。
どれどれ。いざ、実食!
まずは、牛肉と豚肉メインですが、まずは牛肉から攻めてみます。カルビとロース。
運ばれてくるのは、味噌スープだれとポン酢だれ。
当然、味噌スープだれで頂きます。
ピリ辛の味噌スープだれは、4種類の味噌をブレンドし、煮干し出汁、トウガラシがベースとなっています。
肉を焼いたら、スープにチャポンとくぐらせて泳がせて、そして…いざ、実食。
ピリ辛ですが、一般的な味噌だれほど濃くないスープだれは、肉の良さを邪魔せず、逆に良さを引き出すような味わいです。
様々なお肉の旨み、脂が凝縮されたオリジナルのスープは、牛肉や、豚肉、海鮮など、食べたお肉によって味が変わるので毎回違った味を楽しめます。
いわゆる、スープ割。肉の旨味がスープに流れ出ていて、特に飲んだ後は、病みつきになるほど美味いです。
豚メニューは「上州とことん豚」を使用。脂もくどくない。
箸休め的に注文しました「特上炙り肉×雲丹」。味のアクセントになる大葉と韓国海苔を巻いて一口で食べます。
箸休めが終わったところで、ここでは当然、味噌スープだれを活かした〆メニューを頂きます。
まずは、味噌スープだれを鶏ガラで取った割り出汁で割ります。割り方は味見をしながらお好みで。
怒涛の〆メニューへ。様々なお肉の旨みが凝縮されたスープに、ご飯や麺を入れれば極上の〆に。ツルツルシコシコといただけます。
続いて追い飯こと、ご飯を投入。
更に別注でチーズをオーダーします。これは常連さんメニューということですが、ええーい、書いてしまえ。常連さんを気取ってオーダーしてみましょう。
とろけるチーズを焼き台で焼き、投入します。味噌だれにチーズって合いますね。ちょっとしたリゾット感覚で大満足。
〆を食べたら、追いスープ。味噌スープだれをお替りしたいところ。
スタッフにお願いしてみてください。焼肉をつけずに、お替りした味噌スープだれを割り出汁で割ります。肉をドボンしていないので、さっぱりと〆のスープとして頂けます。
これも食べておきたい!
1日限定2本。約400gの特大骨付き上州とことん豚の塊肉。インスタ映え必須。スタッフさんが焼いてくれます。
迷ったらコレの名物盛り。豚肉メニュー5種類を集めた、いいとこどりの一品。こちらもスタッフさんが焼いてくれます。
前回の記事、カウンター焼き肉の快進撃が止まらない!!その背景に予約疲れ現象が!?にも書きましたが、偶然にもこの 小樽焼肉ぶいぶい にもカウンターが併設されていました。しかも女性客が多いとのこと。
藤倉社長曰く、
「お店も新しくて綺麗にしています。メニューは豊富だけと、1ポーション60g程度なので、色んなメニューを食べて好みを見つけて欲しい。」
全国的には目新しい、スープだれ焼き肉というスタイルだけでなく、コスパも高い。
普段使いのお店として、訪店回数が増えそうな焼き肉ニューウェーブのお店で、今夜も腹パンだ。