いま注目を集めるローカルチェーン
郊外に観光などで行った際、有名なファミレスや牛丼チェーンに混じって、見慣れない名のチェーン店を目撃したことはないだろうか。
SNSの時代になり、それまで知られることのなかった地元の味が発掘され、それらのローカルチェーン店に観光目的で行く人が増えているという。実際にそれらの店を訪れると、他県ナンバーの車も多い。
どこに行っても同じ雰囲気と同じ味、そんな画一的なチェーンに飽きた人々が押し寄せて賑わっている。
単にエリアが限定されているだけでなく、そこでしか味わえない素材や独特の調理法などが編み出され、どうしてそのエリアだけそんな食べ方をするの?という謎もローカルチェーンの魅力のひとつである。
北関東のみで展開するファミレス「フライングガーデン」
「フライングガーデン」は、群馬・栃木・茨城といった北関東3県のほか、埼玉や千葉に展開している、ハンバーグをメインとしたファミレスチェーンだ。
ファミレスの定番がハンバーグと聞けば、当たり前のように思えるが、フライングガーデンの看板メニュー「爆弾ハンバーグ」をそんじょそこらのハンバーグと一緒にしないでほしい。
このハンバーグのなにがそんなにスゴイのか?
その魅力に取り憑かれ、同人誌まで発行してしまった男がいる。
その名は「五島鉄平」
この顔を知っている人も多いかも知れない。以前、『マツコの知らない世界』にハンバーグマニアとして出演。その後もメディアへ登場を続ける、ハンバーグ界を牽引する第一人者なのだ。
筆者はフライングガーデン自体は知っていたが、氏の同人誌『挽肉新聞・特別号』を読んで、その魅力に圧倒された。
ここはフライングガーデンをよく知る人物に語ってもらうのが一番だろう。
ということで五島さんに直接オファーし、フライングガーデン本社にもご協力いただき、柏の葉店にて爆弾ハンバーグ実食会を開催することに!
イッツ・ショータイム!
五島さんに食べるべきメニューをいくつかピックアップしてもらう。
―― まず、何から頼みましょうか?
五島さん:なんといっても「爆弾キング 999円」(※以下価格は全て税別)は外せないですね。
―― 特別に調理場の撮影OKをいただいたので、できるまでの工程を見ていきましょう。
―― ハンバーグは希望によりウエルダンでも焼き方を指定できますが、お店のオススメはミディアムなんですよね。
五島さん:鉄板に乗った熱々のハンバーグがテーブルに運ばれ、お客さんの目の前でカットして、ミディアムの状態で提供されるのが好きなんですよね。
―― あっ、従業員が足早に客席へとハンバーグを運ぼうとしていますよ! 早く戻って食べましょう。
五島さん:おっと、ここでお客さんがしなくてはいけない作業があります。
―― ほんとだ。従業員さんが目の前で最後の調理をしてくれるんですね。
五島さん:熱々のソース(今回は和風)をかけてくれるんですけど、ここで油とソースが飛び散るのでペーパーをしっかり掴んで持ち上げるんです。飛び跳ねから自分の身を守りましょう!
―― メガネが曇ってますよ、五島さん(笑)
五島さん:ここが一番の見せ場なんですよ! このエンターテイメント性が爆弾ハンバーグの醍醐味。うちの子も、この瞬間が楽しいと言って来たがるんです。
いざ実食!
五島さん:ピチピチという爆ぜる音が落ち着くまで待ってから……今です! さぁ食べましょう。
―― ミディアムで頼んだからか、赤い部分がかなり残っていますけど。
五島さん:牛肉100%なので、この状態でノープロブレムです!
―― ああ、これは美味しい…。肉本来の味わいを濃く感じます。さらに食べ進むごとに段々と火が入り、油と赤身が馴染んだハンバーグの旨みも堪能できますね!
五島さん:肉の味がしっかりしているなぁというのは、牛肉100%だからでしょう。テーブルの目の前でカットするチェーン店は他にもあるんですけど、テンションが上がりますね。爆弾ハンバーグは、ステーキには出せないハンバーグならではの肉のウマさってやつを楽しめますね。
「肉汁が溢れすぎない」が美味しさの秘訣
―― 肉汁が多すぎて「重いな」と感じる店も多いですが、爆弾ハンバーグにはそれがない。
五島さん:肉汁がジュワ~っと出るほうがシズル感もあって美味しいように思えるんですけど、肉汁が出ちゃうと残ったパティがパサパサになり、旨みも流れ出ちゃうんですよ。
―― 適度な肉汁をパティに残すのも技術なんですね。あと「肉食ってるぞ」という満足感もありながら、もう1個食えそうなくらいサッパリ食べられますね。
五島さん:爆弾ハンバーグは、元々「挽いたステーキ」という呼び方をしていたそうです。まさに、ステーキ並の肉感をハンバーグならではの味わいに昇華させた、爆弾ハンバーグの魅力を裏付けるエピソードだと思っています。
―― そして、なんといってもボリュームですよね!
五島さん:一般的にハンバーグの量は140gくらいなんですけど、ノーマルのキングサイズで250g。それより小さめのクイーンサイズでも200gと、小さめなはずなのにデカイ!
―― そうですよね。小食の人でもそれくらい食えちゃうってことでしょうね。
五島さん:相当デカイのにすんなり食べられちゃう。そこも魅力だなぁと。
ソースも多種多様
五島さん:それと、これも他ではあまり見ないのですが、かけるソースも和風・にんにく・山わさびと3種類から選べるのもまた楽しい(追加のソースは59円)。また、別添えソースとして「チーズ爆弾極うまソース」も用意されているんです。
―― 自分の好きなソースの組み合わせが作れるって、お子さんなんか特に嬉しいでしょうね。
五島さん:追加料金でライスはガーリックライスに変更できるんです。
―― スキレットみたいな熱々のフライパンに乗って出てきたコレですね! バターの香り豊かなおこげができるのがタマランですねぇ。
五島さん:ハンバーグで使ったソースの残りをかけて食べるのも美味しいんですよ。
―― それは裏技ですね(笑)。
もう1つの名物「うまいうまい焼き」
―― 爆弾ハンバーグと並ぶフライングガーデンの2枚看板メニューに、「うまいうまい焼き 699円」がありますよね。
五島さん:ボクの口からそんなに語っちゃっていいのか、っていつも思うんですけど(笑)。
―― ハンバーグ専門家ですからね。でも、そこもフライングガーデンならではの魅力ですので。
五島さん:ハンバーグじゃなくても旨いんですから、しょうがないです。
―― こちらも熱々の鉄板にジュージューいって提供されますよね。
五島さん:鶏肉って冷めちゃうとパサパサになっちゃうイメージがありますけど、一切そんなことがないのがスゴイなと。最後までジューシーのまま食べられます。
―― 鶏肉はプリプリした弾力があって、ソースの濃い味にも負けない鶏肉の旨みが素晴らしいです。
五島さん:うまいうまい焼きのソースって、ご飯がとにかく進むんですよ。フライングガーデンに来て、頼まなかったことはないですね。
―― フライングガーデンに来ると、「爆弾ハンバーグ」と「うまいうまい焼き」どちらを頼むか悩んじゃいそうですね。
ハンバーグそれぞれの魅力
―― 最後に、五島さんにとってのハンバーグの最大の魅力ってなんだと思いますか?
五島さん:魅力というのは提供するお店のスタイルによって変わるので、一口に言えないですね。
―― どういうことですか?
五島さん:ハンバーグを出す店には、ファミリーレストランのほか、街の洋食屋さんや、中華や和食も出すような定食屋さん、ステーキレストランに蕎麦屋さんまであるじゃないですか。
―― 蕎麦屋さんにもハンバーグがあるんですか!
五島さん:結構あるんですよ! ボク勝手にソバーグって呼んでるんですよ。
―― どのジャンルのお店にもハンバーグがある、みんなに愛されてる証拠ですね。
五島さん:その中でどれが1番か?というのではなく、それぞれにハンバーグに対するスタンスや使う材料、提供できるスピードや素材のグレード、さらには調理法まで異なりますよね。
―― ジャンルが違えば、同じハンバーグでもそれぞれにそれぞれの良さがあると。
五島さん:その良さを知ってもらって、
・家族で子供と一緒に食べたいのか?
・デートでちょっと背伸びをして、高めの価格帯のお店に行くのか?
・ステーキとセットで山盛りのご飯と一緒にガッツリ食べたいのか?
とか、食べたいタイプや用途に合わせて使い分けてほしいってことです。
―― ハンバーグのそれぞれの良さを知ってもらうために、五島さんは日夜ブログやSNSを更新し、同人誌を作り、活動を続けているわけですね。
五島さん:千円でお釣りが来るものもあれば、数千円するものもある。一口にハンバーグといっても、その良さって全然違うんですよね。そういったハンバーグのおもしろさが、もっと世の中に広まってほしいですね。
*
今回はフライングガーデンの爆弾ハンバーグ、ひいてはハンバーグそのものの魅力についてたっぷり教えていただいたので、五島さんの意図するところが十分に伝わっただろう。
今後も、五島さんの活動にも、フライングガーデンの展開にも目が離せない。
- フライングガーデン 柏の葉店
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千葉県 柏市 十余二
ステーキ
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挽肉新聞 特別号VOL.01
ハンバーグの写真集Vol.2