なぜ、人はこんなにも焼き肉に惹かれるのか。
肉が好きだから?ただ焼くというシンプルな調理法だから?それともみんなでワイワイ焼くというプロセスまでも楽しめるから?
今や、国民支持率NO.1メニューといっても過言ではないメニュー「焼き肉」の極め方を、焼肉マニア小関氏が語りつくすこの連載。
ライター紹介
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小関尚紀
- リーマン作家/MBA/Yakiniku Journey(焼肉探検家) サラリーマン、作家。早稲田大学大学院修了。経営学修士。『焼肉の達人』(ダイヤモンド社)、『世界一わかりやすい「ゲーム理論」の教科書』(KADOKAWA 中経出版)など単著5冊。趣味の焼き肉は、予約困難店含め200店舗以上を訪店。日々、セクシーミートを探索しつつ、美しく、美味しい焼き方を独自に研究している。
2019年の焼肉トレンドはどこへ向かうのか?
部位の細分化による希少部位の食べ比べに始まり、赤身肉、塊肉、熟成肉、肉カケル高級食材(雲丹、牡蠣、トリュフなど)、たれ焼肉。
これだけ見ても、焼肉人気は空前のブーム到来以後、単発で終わることなく連続していることが分かります。まだまだ進化は続いており、焼肉ブームは留まることを知りません。
2019年の焼肉ブームのトレンドはどこに向かうのか?見解を述べていくことにしましょう。
焼肉トレンドを語る上で、把握しておきたいのが、和牛の高騰と輸入規制緩和です。和牛の子牛の取引価格が、2012年→2016年で2倍に高騰しています。
当然ながら、販売される和牛の取引額にも大きく影響し、我々が食べる焼肉の価格にも影響しています。
加えて、米国産牛の輸入規制緩和もあります。2013年のBSE問題で一時ストップ気味になっていた米国産牛を再度輸入させることに。
これにより、2014年2月のウルフギャングステーキハウスをはじめとした、米国ステーキハウスが次々と日本市場に参入。熟成肉は、日本の焼肉界にも、大きく影響しています。
ここ数年、焼肉界に起こったブームは、2つのトレンド軸で捉えると理にかなうと考えています。起点は「希少部位→赤身肉」ですが、「赤身肉→塊肉→熟成肉のブーム」と、「赤身肉→肉カケル高級食材→たれ焼肉ブーム」は別トレンドだと。
焼肉ダイバーシティ元年
今はそれだけ焼き肉をめぐるブームが多様化しており、2019年はいわば焼肉ダイバーシティ元年と言っても過言ではありません。
2つのトレンドのうち、たれ焼肉ブームは、昨年秋ごろからスタートし、まだ始まったばかり。
一方の熟成肉ブームは、定着してきたのではないでしょうか。落ち着いた感じがあり、ポジション的には空位となっている気がします。
しかしそんな熟成肉には、ドライエイジングやウェットエイジングを用いて肉を柔らかくする以外に、実はもう1つ大きな特徴があるのです。
ズバリ、それは熟成香と呼ばれるナッツやチーズのような香り。霜降りや赤身の美味しさ以外の魅力である、肉の放つエイジングの香りが焼肉フリークを惹きつけています。
そうです。2019年の焼肉トレンドのキーワードは、「香り」なのです。熟成肉ブームによって可能になった、肉の香りの豊かさを求めているのです。
キーワードは燻製肉
今、最も注目されている新たな香り、それは燻製の香りです。
肉の旨味を構成するのは、「甘み」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の五種類ですが、実は口に入れる以前の「見た目」と「香り」もかなり重要なんです。
香りは、鼻先で感じる「鼻先香」と、食べ物を噛んだ時に感じる「口中香」がありますが、燻製肉は両方を感じ取ることが出来ます。
肉の燻製は通常「温燻」と呼ばれ、熱生成が終わっている状態に加熱するのですが、それだと燻製の香りしか出てこないのです。
しかし、ブームの先頭を走る格之進の手法は一般的なそれとは違います。
格之進の「薫格肉」は「冷燻」という技法で、熱を加えずに香りをまとわせることができます。
肉を冷凍の状態で燻製させることによって、薫りをより引き立てた肉に仕立てられるのですね。スモークチップは岩手県産のナラ、クルミ、ブナを使用し、芳醇かつまろやかな香りを生み出します。
肉の香りが放出していない冷凍の状態を燻煙するので、焼いた時に初めて肉の香りが出てきて、まとわせた燻製の香りと合わさっていく。
こちらのハンバーグは霜降り、赤身と更に細分化された部位ごとを混ぜ合わせたハンバーグ。他の燻製肉とは一線を画す香りが楽しめる一品!
焼肉ダイバーシティ元年を牽引し、ネクスト焼き肉ブームの中で存在感を示すのは、間違いなく格之進の燻製肉でしょう。
- 格之進R
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東京都 港区 六本木
焼肉