こんにちは。年間2,000軒ハシゴ酒をしている酒場案内人・塩見なゆと申します。
山手線のターミナル駅の中でもひときわ若者が集まる街、渋谷。
センター街や道玄坂など、渋谷駅周辺の街並みは赤ちょうちんとは真逆の世界です。
パワーあふれる若い子たちで賑わうエリアはどうも苦手で、筆者みたいなタイプはどこか昭和の酒場に逃げ込みたくなります。
そんなときはきまってここ、立ち飲みの「富士屋本店」です。
再開発が進む渋谷にあって、貴重な昭和が残る桜丘町の一軒です。
老舗で硬派なお店ですが、実は女性のお一人様が多いのも特長。
一緒に飲んでいる感覚でお付き合いいただければ幸いです。
地階へ降りるとそこはまるで異世界
おしゃれなワインバーやバルの隙間を抜けてたどり着く、地下へ繋がる急な階段。ここが富士屋本店の入り口です。
演劇などのポスターで埋め尽くされた壁、飴色に染まった古ぼけた天井が続く薄暗い階段の先がお店です。ここが”いい酒場”と知らなければ、相当な酒場マニアでなければ、あえて入ろうとは思わないはず。
階段を降りた先を左に曲がると、いっきに広がる異空間。
学校の教室2つ分ほどある巨大な飲み屋で、中央に厨房がありそれを囲むように一周100尺ほどのカウンターがロの字を描きます。
口開けと同時に入り口右側の常連さんが多いスペースに、長年通われている主(ぬし)の皆さんが集まり、18時を過ぎたあたりから続々と仕事帰りの人たちがやってきて、あっという間に満員状態へ。
50人は立ち飲みができる巨大な店内はお祭り状態。
渋谷という土地ならではの客層
満員の店内ですが、ちらほらと女性の姿も。
多くは会社の人たちと飲みに来ているようですが、女性二人組やお一人様も珍しくありません。
渋谷という土地柄、IT会社やベンチャーに勤める方も多く、「インターネットで知って飲みに来て以来、富士屋飲みにハマってしまった」なんて声もよく耳にします。
ギターなど楽器ケースをもって飲みに来る人も多く、飲み客は多種多様。
自然と老若男女が集い、それぞれが居心地の良い空間へ化学変化させていった、なんとも独特な空間です。私も20代前半でお金がないなか、よく一人で通ったものです。
おつまみの大定番、ナス味噌・ハムキャ別
飲む場所は店員さんに人数を伝えればアテンドしてくれるので心配ご無用。
お会計はキャッシュオンで、初回の注文が全部揃った時点で精算されます。
一杯目はやっぱり生ビール(450円)。
長年飲み物・食べ物のメニューは変わっていません。
壁一面に貼られた短冊のなかから食べたいものを選ぶのですが、お客さんが多いとメニューがよく見えないことも。それもまた楽しい!
だいたい300円前後なので何を食べてもお財布に優しいです。
私のおすすめは、「なすみそ炒め(250円)」と「ハムキャ別(350円)」。
どちらも富士屋本店の伝統メニュー。
なすみそは素揚げのナスに名古屋風の甘辛い味噌を和えたもの。ビールとの相性抜群です。
ハムキャ別は、千切りキャベツの上にショルダーハムを載っけただけのもの。
マヨネーズを豪快にかけて食べれば、店の雰囲気もあいまって箸が止まりません。
ハムキャ”別”なのは昔から。メニューの"別"という字を飲みながらじーっと見ているとゲシュタルト崩壊(笑)。
飲み物は、ホッピー(ソト200円)も人気で、すごい勢いで売れていきますが、実はナカ(ホッピーのベースとして入れる甲類焼酎)の単品はなく、宝焼酎25度360mlボトル(600円)を一本買わなければいけません。残したら持って帰れるので、少しハードな気分で飲みたいときはぜひ!
酒場のグルメは食べ物の美味しさだけじゃない!
忙しいなかでも優しい人柄が感じられる接客、隣あったお客さんとの一期一会の会話。
大きい空間でみんなで飲んでいる不思議な一体感。
そのすべてがお酒や料理をさらに美味しくしてくれます。
渋谷に残る貴重な大衆立ち飲み・富士屋本店。
再開発の波はすぐそばまで近づいてきていて、富士屋本店もそう長くは現状維持できそうもありません。
お酒が好きならば、ぜひ今のうちに!
【本日のお会計】
生ビールサッポロ黒ラベル 450円
なすみそ炒め 250円
ハムキャ別 350円
お会計=1,050円
- 富士屋本店
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東京都 渋谷区 桜丘町
立ち飲み
ライター紹介
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