こんにちは。年間2,000軒ハシゴ酒をしている酒場案内人・塩見なゆと申します。
女性のお一人様にもおすすめしたい、立ち飲みや大衆酒場の魅力をお伝えする塩見なゆの「ちょい飲み放浪記」。今回は銀座に隣接する海鮮立ち飲み「サ嘉ダチ 二太キ(さかだち にたき)」をご紹介します。(*キは七3つで表記)
ところで、立ち飲み酒場というとサラリーマンが集うオヤジパラダイスのようなイメージ、ありますよね。そして、”女性に人気の立ち飲み”というキーワードだと、今度はオシャレでバル風、ボリューム控えめで雰囲気勝負のイメージになるのではないでしょうか。
今回ご紹介する「サ嘉ダチ 二太キ」はそのどちらでもありません。刺身に牛すじ豆腐、栃尾油揚げといった典型的な酒場料理をびっしり揃えるのに、客層は男性だけでなく女性もふらりとやってくるという、まだまだ珍しいタイプのお店です。
和食で修業、魚河岸に近い地の利を活かして
「サ嘉ダチ 二太キ」のオープンは2016年。それ以前から同じ新富町で「サ嘉ダチ(さかだち)」という海鮮立ち飲みをやっていたご夫婦がはじめました。
現在はご主人が「サ嘉ダチ」を、奥様が「サ嘉ダチ 二太キ」を切り盛りされています。もともとご主人は和食で修業されていた方で、魚河岸との関係も持たれている方。新富町から市場までは徒歩で10分程度の距離にあり、地の利と修業時代の技や人脈を活かして差別化しています。
ターミナル駅が近隣にないため、どちらかというとご近所に暮らす人々や、店のウワサを聞きつけた海鮮好きが集う隠れた人気店となりました。
二太キ(にたき)の通り、煮炊きの料理が中心
和食で修業されていたことから出汁を使った料理がやりたかったそうで、「サ嘉ダチ」は刺身がメインなのですが、「サ嘉ダチ 二太キ」は店名の通り、念願の煮炊き系・出汁をつかったおでんをメインとした料理が中心となっています。
夏場でも人気のおでんは10種類以上。魚河岸は鮮魚のイメージが強いですが、実はおでんダネを扱っているお店は古くからあり、新富町でおでんを主体とした酒場を開くことは、そんな背景からみれば自然です。
季節感のある種が日替わりで加わるので、なにがあるかはその日のお楽しみ。〆には自慢の出汁をつかった「ひつまぶし」や「おでんだしかけ飯」も人気です。
いついってもハズレなしのお刺身も必食
日替わりのお刺身は、まぐろや〆さばを定番として6種類ほど。一人で飲むならば500円の2点盛りがちょうどよく、立ち飲みの小一時間を幸せにしてくれます。
刺身以外にもタコとホタテのワサビジュレなど、ひと手間かけた割烹料理も日替わりで入ってくるので見逃せません。お客さんをあきさせないような工夫は、個人店酒場ならではの柔軟さです。
取材時にいただいた生インドまぐろ中トロは、立ち飲み屋で提供するクオリティを遥かに超えるとってもいいもの。思わず笑顔がこぼれます。
美味しいお酒もポイントです
お酒にもこだわりがあり、生ビールは状態抜群の黒ラベル。酎ハイは380円からで、辛トマト割り400円はブラッディマリー風なのに不思議と和食と合うのがおもしろい。
日本酒は櫻正宗。雑誌で紹介されるような日本酒銘柄や大定番の白鶴や松竹梅と比べるとやや知名度は低いのですが、実は正宗の元祖。●●マサムネというお酒はいくつもありますが、最初につけたのが櫻正宗です。
400年以上の歴史がある灘でも歴史ある酒蔵で、「サ嘉ダチ 二太キ」の直ぐ近くに東京営業所があることがきっかけだそう。派手さはないですが、日本の料理に静かに寄り添い引き立てるよいお酒です。
奥様が切り盛りする店だから、女性も入りやすい
女性の店主で、スタッフも女性が中心。そんなこともあってお客さんも自然と入りやすいムードです。明るく清潔感のあるファサード、店内も明るくきれい。店内が禁煙なのもポイントです。
飲み欲、食欲をくすぐる料理の数々はだれだって食べたいものです。
ここは、今までコテコテの海鮮立ち飲みはなんとなく苦手と思っていたような人にも受け入れられる、昔っぽいけど最先端の立ち飲みなのだと感じます。
お店のすぐ横にかかる新金橋をこえれば銀座一丁目という立地で、奥銀座と呼ばれるエリア。穏やかなムードと美味しい料理の融合は、立ち飲みでもおきています。
【本日のお会計】
生ビール 400円
日本酒櫻正宗 400円
刺身2点盛り 500円
おまかせおでん盛り小 480円
合計1,780円(税別)
- 日本酒とおでん・ 二太㐂
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東京都 中央区 新富
居酒屋