こんにちは。熱燗DJつけたろうこと日本酒ライターのKENZOです。
前回の記事で「山梨に移住する」と書いたのですが、友人に一軒家に住むと言うと「ついに結婚?」と聞かれます。
現実はといえば、東京でサラリーマンをしながら、膨大な量の日本酒の保管や発酵料理の研究のために山梨にある一軒家に一人で住みます。5LDKです。
山梨から東京にある職場まで、2時間かけて通います。独り身ですが、なにか?
さて、みなさま戦後初めて北海道にできた日本一新しい酒蔵「上川大雪酒造」を覚えていらっしゃいますか?
参照記事:「たとえ絵空事だと笑われても」 北海道に誕生した日本一新しい酒蔵"上川大雪酒造"の創業ストーリー
以前書かせていただいたこの記事の最後に、僕はこう宣言していました。
次の取材で、酒蔵を見学に行かせていただいてもいいですか?
そう……行ってきたんです! 北海道に!
▲上川大雪酒造は、旭川空港から車でおよそ1時間の場所にあります。
11月11日(土) 気温5℃ 曇り + 吹雪
北海道に〜〜〜!!
上陸っっ!!!!
ちょっ、、、
ちょっと待っp
「イダダダダダダッ!!!!!!」
(一時避難)
北海道に降り立って、まず訪れたのは北海道上川町にある「フラテッロ・ディ・ミクニ 」。フレンチの巨匠・三國清三シェフのレストランであり、上川大雪酒造が生まれる"すべてのきっかけとなったレストラン"らしい!
【上川大雪酒造の創設のきっかけをつくった上川町長を取材したアナザーストーリーはこちら】
- フラテッロ・ディ・ミクニ
-
北海道 上川郡上川町 菊水
フランス料理
そして、このお店で上川大雪酒造・代表の塚原敏夫さんと待ち合わせをしていました!雪のため撮影を断念しましたが、本来晴れた日に拝めるこのお店の外観はこちら!
絶景すぎる!!見たかった…!!
気を取り直して、、、いざレストランへ!
オシャレー!!!
「上川大雪」もあった!!ラベルかっこいい!!
(※前回の取材時には試験醸造だったのでラベルも違っていた)
あ・・・!!!
塚原さん・・・!ご無沙汰しています!
ようこそ、北海道までよくぞお越しくださいました!こちらが以前の取材の時にお話したレストランですよ。
めちゃくちゃ素敵です。天気すごいけど…。
こんなに強い雪は今シーズン初ですね。KENZOさん、何か持ってますね(笑)
ええ、持ってるみたいです(嬉しくない)
今日は是非レストランも堪能してくださいね。
ありがとうございます!!!山田氏(Retty編集者)、楽しみだね!!!
今回の取材は、酒蔵の取材がメインですからね…!
うんうん、わかってるって(笑)
(この人、ぜったい旅行気分だ…)
いっただっきま〜す!
こちらは上川町をはじめとした北海道で取れた食材ばかりなんですよ。
うわ! めっちゃ美味しい! 三國シェフのレストランだけあって、前菜も洗練されてる!
タコ柔らかっ! 味がぎゅっとしてる! めちゃ美味しい!
う、美味い〜〜〜! こんな雄大な自然の景色を見ながら、こんなにも美味しい料理を食べられるなんて幸せですね。(外は吹雪だけど)
世界中を旅している人から前に言われたのですが、ここからの景色は日本で3本の指に入る美しさだそうですよ。
日本トップクラスの景色と三國シェフのレストランの食事、これは幸せすぎる…!!!
上川大雪のお酒も美味しいし。幸せだなぁ。はぁ、この取材、なんて過酷な仕事なんだ。
クラウドファンディングでみなさまに支援していただいて、ついに「上川大雪」を無事に販売開始することができました。
いやぁ、感慨深いですね。そして、やっぱり美味しい!また、このお酒は冷やしてもいいですが、温度が上がってきても美味しいですね。あ、おかわりしてもいいですか?
どうぞ、どうぞ。
KENZOさん、今日は取材ですからね?
うん、わかってる。酒蔵の取材だからお酒を飲むの。
(ダメだ、こいつ…)
それでは、このあとは酒蔵のほうへ向かいましょうか。
はい!!!ぜひ〜〜〜!!!
山田氏、もう完全に雪景色だね。蔵の撮影、大丈夫かな…。
祈りましょう。。
---(レストランから車で走ること10分)
ナビによると、この辺りのはずですよ。
え、どこどこ!
あ!あれじゃないですか!?
お!
オオオオオオオオオオ〜!!!
ドドン!!!
「緑丘蔵」( りょっきゅうぐら)
※上川大雪酒造の酒蔵の名称
- 上川大雪酒造
-
- 住 所
- 北海道上川郡上川町旭町25
- 電 話
- 01658-7-7388
か、か、かっこいい〜!!!!!!
ヤバイですね!!!
雪でまたいい感じになってる!一緒に写りたい!
【緑丘蔵を建築した建築士・大島有美さんのインタビューはこちら】
いやぁ〜、山田氏、めちゃくちゃカッコイイね!
黒を基調とした建物に白い雪景色、ほれぼれしますね!
窓から見ると、杜氏さんたちが酒造りをしてる様子がすぐそこに!!
蒸し上がったお米をどうするのかな?
お米に種麹(たねこうじ)をまいてる!こんな風にまくのか〜!普通の酒蔵じゃ絶対に見られないよ。。
ふむふむ、まいた麹をお米に混ぜ合わせていくのか…!
楽しい!!ずっとこの窓から見ていたい!!
そうでしょ(笑)。先日ね、小さい男の子がこの窓から川端杜氏が種麹をまく姿を長い間じっと見つめていたそうですよ。
おおー!子どもは特に喜びそうですね〜!その男の子が未来の杜氏になったりして!(笑)
そうなったら嬉しいですね(笑)。蔵の中もぜひ見ていってください。
それでは、いざ蔵の中へ!!!楽しみすぎてウキウキが止まらない!!!
まずはこちらで着替えて、いざ!!!
酒米が積まれている。
こちらはお米を蒸す機械。
おお〜!お米が蒸し上がってる…!
こちらは酒母室。
こちらが酒母(しゅぼ)。う〜ん、いい香り。
※酒母とは、お酒を醸造する際の元となるもので、青リンゴのような非常に良い香りがしました。
蔵人たちが仕込みタンクの状況をチェックしています。ここでじっくり時間をかけてお酒にしていくようです。
こちらは通称「ヤブタ」と呼ばれるお酒を絞る機械。
やや!これは新しいラベルだ!!!
【上川大雪酒造クリエーティブディレクター・新村銀之助さんによる、デザインにまつわるインタビューはこちら】
瓶詰めの作業などは地元のボランティアの方々による協力があって成り立っているそう。
出荷を待つ瓶詰めされた「上川大雪」の四合瓶。ああ、飲みたい!
仕込みタンクで造られた日本酒を瓶詰めするまでの流れはこんな感じ!
なんとこの上川大雪酒造では、業界では非常に珍しい個人がタンクを指定して日本酒を購入できる販売予約サイトがあるんです!
興味のある方は、こちらから「上川大雪」を購入いただけます!
http://shop.kamikawa-taisetsu.co.jp/
百聞は一見にしかずだね!日本酒造りの工程はわかっているつもりだったけど、実際に間近で見てみると「こうやってやるんだぁ」って、驚きがあった!
杜氏さんや蔵人たちにも直接話を聞いてみましょう!
山田氏、ちょっと待って。夕食の時間から逆算して、それまでにもう1つ行きたい場所が!
え、どこです?
お・ん・せ・ん!上川町には、北海道屈指の名湯「層雲峡温泉」があるんです!
いやいや、温泉と酒蔵は関係ないでしょ?
そんなこともないんですよ。上川大雪のお酒は、層雲峡温泉の旅館やお店とも連携してお客さんに提供していますから。
ほらほら!!(知らなかった…)
層雲峡温泉!!!
- 層雲峡温泉
-
- 住 所
- 北海道上川郡上川町層雲峡
渓谷の絶景を見ながらの露天風呂!!!
良いお湯でした!!!!
KENZOさん、いい加減もう行きましょう。(風呂上がりでムダに肌ツヤツヤしてるし…)
え?
ただの観光になってます。すでにお土産も買ってるし。
※神川は上川町の「ふるさと納税」の返礼品としても贈呈しています
うん、そうだね。そうしよう。ごめんなさい。あ、塚原さんから電話だ。
(電話)夕ごはんですが、せっかくなので酒蔵を手伝ってくれている町のボランティアの方々や上川大雪の蔵人と一緒に食べませんか?
(電話)エェ〜!!!いいんですか!?
(電話)上川大雪を飲みながら、上川町の夜を楽しみましょう!
(ガチャ)最高。もうやばい。
昼ごはん食べて、酒蔵チラッと見て、温泉入って、夜に酒飲むとか、ただの観光かよ…!
いや、違うよ、山田氏。夜のお食事の場でみなさんの熱い想いとかを聞くつもりよ?
- 居酒屋 呑
-
- 住 所
- 北海道上川郡上川町中央町582
- 電 話
- 01658-2-1717
カンパ〜イ!!!
上川町で釣れるヤマメの南蛮漬け!
こちらは上川町名産のニジマスのお刺身!ニジマスのお刺身は馴染みがなかったのですが、これがめっちゃ美味しい!サーモンを上品にした感じで僕は大好きでした。上川に来たなら絶対食べるべき!
超大量の蒸し牡蠣!(これは僕一人分のお皿です)
地元名産「渓谷・味豚(みとん)」のしゃぶしゃぶ!!!
これが美味しいのなんのって!柔らかい肉質で上品な脂の甘みで、もう何枚でも食べられる。
最後にみなさんでパシャリ。なんと楽しそうなのでしょう。
もう上川町のみなさん、最高です!!
---そして、翌日・・・
- ミニホテルくうねる
-
- 住 所
- 北海道上川郡上川町中央町560番地
- 電 話
- 01658-2-3323
- 定休日
- 無休
昨日1日で取材したノート見せてください。
え?
宴会で上川町の人の熱い想いを聞くって言ってたでしょ?
ごめん、楽しむのに夢中で書いてない、何ひとつ。というか、そもそも昨晩の記憶もない。
は…?取材に来て、酒飲んで記憶なくすとかあり得ないでしょ…。
山田氏、昨日は俺大丈夫だった?
昨日の写真見ます?
めっちゃ楽しそうだし、もう完全に酔っ払ってるwww 仕事してねえwww
本当にどうするんですか?
仕方ないでしょ!!そのくらい上川町が楽しかったの!!怒るなら、上川町に怒ってよ!!
(逆ギレすぎる…!)
大丈夫、大丈夫!今日1日の取材で絶対に挽回するから……!
編集後記
恥ずかしながら酒蔵取材に来たつもりが、上川町が楽しすぎてほぼ観光をして1日が終わってしまいました。
北海道にできた戦後初の新しい蔵「上川大雪酒造」。初めて取材をさせていただいた時から、そのドラマチックな誕生秘話に衝撃を受け、いつか伺いたいとずっと思っていたのです。
実際に拝見した酒蔵は想像以上の驚きでした。窓の外から蔵の中の作業をほとんど見ることができ、麹室にすらも窓がつけられていました。
「上川町に人を呼ぶため」を目的として作られた酒蔵だからこそ、外から誰でも見学できるように酒蔵が設計されている。日本酒に日光は天敵であっても、酒蔵の全ての部屋に窓をつけることを杜氏も了承してくれている。町のための酒蔵だからこそ、町内の方々はボランティアで酒づくりの手伝いに来てくれている。
塚原さんは「日本酒をつくって儲けるため」ではなく「酒蔵をつくって町おこしをするため」に酒造を設立したと以前仰っていました。
実際に見学させていただくとそれはただの言葉ではなく、強烈な意志としてより強く感じられました。億単位の借金をして、酒造を作る。その目的は「儲け」ではない。そう言い切って実現された塚原さんの器の大きさには言葉が出ません。
そしてそれに呼応するかのように、上川大雪酒造の周りに集まっているのは素敵な人達ばかりでした。ライターとして取材に伺いながら記憶をなくして飲んでしまうほど、上川町は最高でした。
料理は美味しかったし、景色も素晴らしかったです。温泉もすんごい気持ち良かったです。そして何よりも最高だったのは上川町にいらっしゃる「人」だというのを一番に感じました。
続編では、そんな上川町の「人」にフォーカスした記事で上川大雪酒造を紹介させていただきます。次回は、上川大雪酒造を設計した建築家の方へのインタビューを公開します!