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連載:松浦達也の大阪グルメ探訪

”豚まんか肉まんか問題”を凌ぐ難題現る!大阪の豚まんは「551蓬莱」か「二見の豚まん」か

ライター紹介

松浦達也
松浦達也
ライター/編集者。「食べる」「つくる」「ひもとく」を標榜するフードアクティビストとして、テレビ、ラジオなどで食ニュース解説を行うほか、『dancyu』から一般誌、ニュースサイトまで幅広く執筆、編集に携わる。著書に近著の『新しい卵ドリル おうちの卵料理が見違える』ほか『家で肉食を極める!肉バカ秘蔵レシピ 大人の肉ドリル』(ともにマガジンハウス)など。

大阪土産の定番と言えば、真っ先に名前が上がる「551蓬莱」の豚まん。そのメジャーさが故か、最近では「新幹線車内で、アツアツの豚まんをほおばるのは香り的にいかがなものか問題」なども囁かれかるようになった。

それほどまでに豚まん界では、551蓬莱の存在感は強大だ。大阪土産≒551蓬莱と言っても過言ではない。

だが、浪速っ子と豚まんの話になると「私は二見がええなあ」と難波の豚まん専門店「二見の豚まん」を推す声も聞こえてくる。関西圏に数十店を出店する551に対して、難波の単店である二見の豚まんを推して譲らぬ人が結構いるのだ。

確かに両者の皮や餡の味つけや食感は別物……だった気がする。だがぼんやりとしたイメージしか思い出せず、今回、改めて両者の豚まんを食べ比べてみることに。複数をテイスティングするときの基本は同時比較である。

ちなみにどちらも難波駅からほど近くに本店を構えているが、店舗の規模感としてはやはり551のほうが大きい。二見が豚まんだけを扱っているのに対して、551の本店は持ち帰り用だけでも焼売や餃子、ちまきにごま団子なども売っている。本店の2Fにはレストランまで併設されている。

551蓬莱の本店にはアイスキャンデー売り場や全国への発送受付窓口もある

551蓬莱の本店にはアイスキャンデー売り場や全国への発送受付窓口もある

だが二見も負けてはいない。551に2Fがあるということならば、二見には地下がある。二見で豚まんを買うと、ご主人が豚まんのケースを持って地下の厨房から1Fの売店へとはしごで上がってくる姿をよく見かける。実に味わい深い。

売店のお母さんに「地下どうなってるん?」と聞くと、「秘密の地下工場があんねん」とにっこり。こういう受け答えがいちいち関西風味

売店のお母さんに「地下どうなってるん?」と聞くと、「秘密の地下工場があんねん」とにっこり。こういう受け答えがいちいち関西風味

まず、両社の豚まんの基本スペックを確認する。551は1個あたり170円(ただし、購入は2個単位)で重さ135~138g、温められたもののみ購入可。二見は1個190円(奇数もOK)で重さは165~175g、購入時に温かいものか冷めたお土産用か選択ができるようになっている。

さてそれぞれ御開帳と参ろう。まずは551から。

皮の弾力が強く、かなりのもちもち感。開いた瞬間、餡の肉と脂の香りが強力に鼻腔をくすぐる。合わせるならビールかハイボールか、とにかく発泡系のアルコールがほしくなる。

対して二見。

皮は551と比較するときめ細かく、やわらかい。餡の香りも551よりは控えめ。肉の強い香りよりも玉ねぎの甘い香りが印象的だ。おーい。緑茶!(烏龍茶、ほうじ茶でも可) アルコールなら、焼酎の水割りかお湯割りあたりのするっと飲める酒もよさそう。

まとめるとこうなる。

551蓬莱

単価 170円(×2個単位)
重さ 135~138g
皮 弾力の強いしっかりとした食感
餡 味つけはしっかり。豚肉、肉汁、味つけすべてしっかり。実際の重さのわりに強力なボリューム感。
辛子 きりりと辛い
備考 提供は蒸したてのアツアツのみ

二見

単価 200円
重さ 165~175g
皮 もちもちとした一定の弾性はあるが、キメの細かいやわらかさも
餡 味つけは全体的に551よりも淡い。塩味もやや控えめで、ザクザクと切った玉ねぎの量が多い分、甘味を感じる。ボリュームはあるが、上品な味わい。
辛子 さらりとした辛さ
備考 蒸したてのアツアツと冷ましたものから選べる

皮や餡はあくまで両者の比較の範囲でのインプレッション。ただし、コンビニなどの「肉まん」よりも遥かに皮のコシが強いのはどちらも同じ。餡の味わいに手作り感が強いのも同様だ。

そして関西における認知度の違いはどうか。他にも立ち寄り先がいくつかあったので、難波以外のエリアに「二見」の豚まんをお土産で持っていった。551は知らないはずがないので、今回はお渡しせず。

まず、梅田の焼肉店のご主人は「二見」の文字を見て、「おお。二見やん。ようわかっとるやん」とほくほく顔。どうやらお好きな方に当たったようでこれは何より。

もう一軒、京都のおばんざい屋さんの女将さんにも渡してみた。

「あら。気ぃ使っていただいてすみませんね。二見? 知りませんなあ。へえ。おいしいんですか。551? そら知ってますよ。アハハハ」

難波→梅田→京都と遠ざかるにつれて、二見の印象は薄れ、豚まん≒551という印象が強くなる様子。そういえば京都駅や周辺の百貨店にも551は出店していた。一方、二見派だという梅田の焼肉店のご主人も「二見は、梅田でも知らん人いるかもなあ」とおっしゃっていた。

「二見の豚まん」の外観。難波駅から 「南海通商店街」を入ってひとつ目の左角にある

「二見の豚まん」の外観。難波駅から 「南海通商店街」を入ってひとつ目の左角にある

そういえば難波から京都に向かう途中、乗り換えのエレベーターで乗り合わせた20代と思しき女性に「たくさん買わはりましたなあ」と話しかけられたので、これ幸いと「551と二見、どちら派ですか?」と聞いてみた。

「難しいわぁ。551のほうがメジャーやし、みんな知ってますもん。でも通は二見、なんてことを言う人もおるし……。まあ、好き好きなんと違いますか?」

仕込んだわけでもないのに、どこの関係者かと思うような見事なご回答。そう。いま書いているこの比較記事は優劣を決めるものではない。それぞれの特徴を洗い出し、より気分にあった豚まんを選ぶための道標なのだ。

もっともこの記事だけで決められるわけもない。大阪の誇る、551蓬莱と二見の豚まん。選ぶべきはどちらなのか。自らの好みを知る唯一の手段は、現地に赴くことである。

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