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連載:むむ先生の"食"超解説シリーズ

マヨネーズは常温保存で大丈夫なの?マヨラーはなぜマヨにハマるの?その理由は…

Rettyグルメニュースをお読みの皆様、こんにちは。「むむ先生」こと、杉村です。

ライター紹介

杉村啓
杉村啓
日本酒ライター、料理漫画研究家、醤油研究家。 日本酒の基本から歴史・造り方までを熱く語った『白熱日本酒教室』やタモリ倶楽部でも紹介された醤油の奥深さを書いた『醤油手帖』など、食に関する書籍を多数執筆。「むむ先生」として食のコラムや紹介を各メディアで担当。8月末には、グルメ漫画の半世紀を辿る新著『グルメ漫画50年史』を上梓。

「むむ先生の"食"超解説シリーズ」の19回目のテーマは、「マヨネーズは常温で保管しても大丈夫なの?」&「マヨラーになってしまうのは理由があった」です。

ご存知の方も多いと思いますが、マヨネーズは基本的には卵をふんだんに使っています。しかも火を通していない、生卵の黄身が中心です。

それなのに、店頭では常温のまま棚に置かれて売られているのは、大丈夫なの? と、ふと疑問に思った方もいるのではないでしょうか?

結論から先に言いますと、全く問題ありません。しかも、防腐剤や合成保存料が入っているわけではないのです。

また、マヨネーズを語る上で忘れてならない存在が「マヨラー」です。彼らはなぜマヨネーズにハマってしまうのか…そこには理由があるのです。

今回はマヨネーズの原理と、マヨラーについて解説をしていきます。

マヨネーズの基本的な作り方

マヨネーズの材料は、卵、油、酢、そして調味料(塩など)です。

油と酢は、基本的には混ざりません。
両方を一緒のボウルに入れてかき混ぜても、しばらくすれば分離してしまいます。これは比重が違うのと、油が酢(の水分)に溶けないためです。

そこで登場するのが、卵!特に黄身(卵黄)の部分です。

すごくざっくりと言いますと、卵黄は、水とくっつく性質と、油とくっつく性質の両方を持っています。

それぞれをつかむ手が1本ずつあると考えるとわかりやすいかもしれません。右手が水と、左手が油とだけ結びつくイメージをしてみましょう。

卵黄の片方の手で水、もう片方の手で油とつながった状態は、卵黄の粒が小さければ、離れて見るとあたかも水と油がつながったように見えます。

このように、油と酢(の水分)との間を卵黄が結びつけることで、時間が経っても分離しなくなるのです。こういった効果を「乳化」と言います。

これが、マヨネーズの基本的な原理です。

酢と塩の力で殺菌する

マヨネーズの主成分である「酢」には、強力な殺菌作用があります。一定以上の酢の濃度があるところでは、なかなか菌は生きていけません。

食べ物が腐るのは、主に菌の仕業です。
腐敗菌が食べ物を分解し、腐っていくのですから、菌の増殖を抑えることができれば保存が利くというわけです。

酢漬けなどが保存食となるのは、酢の殺菌力を利用しているからなのですね。

さらに、マヨネーズには「塩」も入っています。
塩にも殺菌力があります。こちらの原理は、菌が塩につくと、浸透圧の関係で塩に体の水分をとられてしまうから。

菌も生き物ですから、体の水分を奪われたら生きてはいけません。こういった理屈で、塩漬けにしたものも、雑菌の繁殖を抑えることができるのです。

酢と塩の効果で、かなり強力に殺菌するので、市販されているマヨネーズには防腐剤がいらないのです。

ただ、ここでひとつポイントになるのは、どちらも水分が関係しているということ。水分が多くなれば酢の濃度が低下して殺菌力が弱まりますし、塩も菌の水分を吸収する前に、水で満たされてしまいます。

というわけで、いくら殺菌作用があるとはいっても、調理に使ったりして水分が加わると殺菌力は落ちるのです。腐りにくいマヨネーズを使っているからこの料理も腐りにくいはず、ということではありません。

あくまできちんと保存しているマヨネーズは腐りにくい、調理に使ったら速やかに食べる、という認識でいるといいでしょう。

ちなみに、市販されているマヨネーズはきちんと管理された工場内で、細心の注意を払って菌がほとんどいない状態で作られています。

さらには、油が酸化して風味が落ちないよう、なるべく空気に触れない分厚い容器にも入っています。そういった工夫によって、長期間おいしく保存することができるのです。

残念ながら家庭では、どんなに頑張っても市販品並の無菌状態は実現できません。自家製マヨネーズを作った場合は、早めに食べるようにしましょう。

コレステロールはどうなの?

卵をたっぷり使ったマヨネーズ。コレステロールが心配で…という話を聞いたことがあります。実は、数多くの実験の結果、食事由来でコレステロールはそれほど増えないということが明らかになっています。

コレステロールは食事から摂取するというよりも、肝臓で作られるものの割合が高いということがわかりました。食事で吸収されるコレステロールは、体内で作られるものの3分の1から7分の1程度ということがわかったのです。

一食分のマヨネーズは約15g。これぐらいだと、12週間毎日食べても、血中コレステロール値が変化しなかったという実験結果も出ています。

というわけで、以前は「卵はコレステロールが多いから1日1個」と教えられていた人もいるかもしれませんが、現在では気にせず食べて大丈夫とされています。

2015年には、厚生労働省がコレステロールの摂取上限基準値を撤廃しています。安心して卵やマヨネーズを食べましょう。(参考資料:キユーピーディフェ「コレステロール対策食事改善講座」より

もちろんこれは、健康な人に当てはまることで、病気(高コレステロール血症など)の方はその限りではありません。医師の指示に従ってください。

マヨラーはどうして何にでもマヨネーズをかけるの?

ちょっと話は変わりますが・・・何にでもマヨネーズをかける、いわゆる「マヨラー」が話題になったことがあります。いったい何故、このようなことをしてしまうのでしょうか。

そもそも日本のマヨネーズは美味しすぎるというのがひとつにあります。

マヨネーズの発祥には諸説あるのですが、有力なのは18世紀にスペインのメノルカ島の港町、マオンで誕生したというもの。マオンのソースがマオンネーズと呼ばれ、マヨネーズとなったのです。

そのマヨネーズをアメリカで味わったのが、キユーピーの創始者である、中島董一郎氏。

中島氏は栄養価の高さにも注目し、日本人の体格向上を願って、当時のマヨネーズの二倍の卵黄を使用。さらに栄養価を高めたマヨネーズを作り、販売しました。

というわけで、海外の物に比べると、日本のマヨネーズは卵黄を二倍使っているのです。

そして海外は、白身も含めた全卵で作っているところが多いのに対し、日本は卵黄のみを使っているのもポイントでしょう。よりクリーミーでまろやかになり、さまざまな食材に合うようになったのです。

どんな食材にも合わせやすい美味しい調味料になったため、何にでもかける人が現れたということですね。

もうひとつの理由は、油にあります。

油はカロリーが高く、ふんだんに使った料理はコクが増し、とても美味しくなります。

この、高カロリーというのがポイントで…簡単に言うと脳が、「こんなに美味しくてカロリーがたくさん摂れるものは、繰り返し食べたい!」と思ってしまうのです。いわゆる報酬効果と呼ばれるものです。

あまりにもたくさん摂取しすぎると、どんどん病みつきになってしまい、何にでもマヨネーズをかけないと物足りなくなってしまうというわけです。その正体は、油にあったのですね。

というわけで、マヨラーには、マヨネーズと食材を合わせた風味が好きという人と、油に病みつきになっている人とがいたりするのです。

ちょっと最近マヨネーズを使いすぎていると思ったら、もしかしたら油に夢中になっているのかも? と考えてみるといいかもしれません。

美味しすぎる調味料なため、たっぷり使いたいのはわかりますが、何事も適量が肝心というわけですね。

【むむ先生のイチオシ調味料〜マヨネーズ編〜】

愛用のマヨネーズはというと、なんだかんだでやっぱりキユーピーのマヨネーズが大好きだったりします。味のバランスが秀逸で、飽きが来ません。

ケチャップと混ぜてオーロラソースにしてみたり(と場合によってはウスターソース)、醤油と混ぜたりするときにも、強烈に主張しすぎず、まさに万能のマヨネーズです。

キユーピーでは実際にマヨネーズを作っているところを見られる、工場見学を実施しています。そこで見られるのが、割卵機です。

膨大な量の卵を使うため、もの凄い速度で卵を割り、黄身と白身を分ける機械です。その数はなんと、1分間に600個、つまり1秒に10個の卵をパカパカ割って、仕分けをしているのです。(▶︎詳しくはキユーピーのHPで

CMでも一部を見ることができますが、高速でパカパカ割っていく様子は圧巻としか言いようがありません。機会があれば、是非行ってみてください!

■漫画で解説!日本酒教室

日本酒に興味はあるけど、「なんだか難しそう」「どれを選べばいいのかわからない」……。そんなあなたのための“日本酒教室”、はじまりはじまり!詳しくはこちらから http://sai-zen-sen.jp/comics/twi4/nihonshu/0002.html

■グルメ漫画の歴史をまとめた本『グルメ漫画50年史』を出しました

50年にわたるグルメ漫画の歴史を、10年ごとに区切り、当時の食文化からどういう影響を受けてきたのか、そして食文化にどういう影響を与えてきたのかを記しました。

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