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連載:国民支持率No1メニュー"焼肉道"の極め方

【いま見逃せない肉トレンド】熟成肉ブームの後にきた、肉の「低温調理」が流行る理由

なぜ、人はこんなにも焼き肉に惹かれるのか。

今や、国民支持率NO.1メニューといっても過言ではないメニュー【焼き肉】の極め方を焼肉マニア小関氏が語りつくすこの連載。今回のテーマは、今話題の「低温調理」です。

ライター紹介

小関尚紀
小関尚紀
リーマン作家/MBA/Yakiniku Journey(焼肉探検家) サラリーマン、作家。早稲田大学大学院修了。経営学修士。『「即判断」する人はなぜ成功するのか?』(サンマーク出版)など単著4冊。 趣味の焼き肉は、予約困難店含め140店舗以上を訪店。日々美しく、美味しい焼き方を独自に研究している。

肉の低温調理ブームの背景とは

今は空前の焼き肉ブームです。部位の細分化に始まった焼き肉ブームですが、赤身肉、塊肉、熟成肉とブームがきて、最近では低温調理というのも1つのブームになってきています。

その理由は、最近、美味しい肉を食べる為の火入れする温度のロジックが一般的に、明確なってきたことが大きいと私は考えています。

肉は、きっちりと処理した生肉も美味しいのですが、熱を加えることにより変化し、違う美味しさを生み出すのです。

では何度の熱なら美味しさが増すのか?というのが、いわゆる「火入れ温度のロジック」。

最近ブームの肉の低温調理は、フレンチなどの技法ですが、ロジカルに火入れして美味しく肉を食べる技法です。和牛でロジカルに火入れすると・・・想像しただけで垂涎ものですね。

さて、肉好きの皆様なら一度は聞いたことがあると思うのが、肉は、中心温度が60度-65度に焼くと一番美味しくなるということです。

「中心温度60度-65度に焼くと、肉は一番美味しい」とは何なのか?なぜなのか?

今回のテーマの低温調理法とは、この温度をきっちりと時間をかけてマネジメントする方法で、殺菌もして、肉汁の封じ込めも行う調理方法です。

そもそも和牛肉は、意外に思うかもしれませんが、ほぼ水分とたんぱく質と脂質で構成されている物質です。

例えば、和牛の肩の部分だと、全体水分量59%-66%、たんぱく質18%-20%の割合で、その他は、脂質等になります。(※文部科学省:食品成分データベース)

つまり、焼き肉で肉を焼くときは、構成要素の大きい、この水分とたんぱく質の関係性を考慮し、マネジメントすれば美味しく焼けるということになります。

その時に覚えておいて欲しいポイントは、殺菌とたんぱく質です。たんぱく質の主な構成は『ミオシン』『コラーゲン』『アクチン』の3つになります。

まず殺菌ですが、肉は栄養豊富な食材なので、細菌が発生しやすい物質です。細菌は、肉の外側に付着しやすく、内部にはあまりいません。なので、基準をクリアした焼肉屋さんが、生肉を提供できるのも、外側を基準通りトリミングしているからです。

では、何度以上になると菌は死滅するのか?

勿論、100度以上になると、数秒で死滅しますが、それでは肉が硬くなり過ぎ、美味しくありません。60度以上で10分以上加熱すると死滅すると言われています。
 
一方、お肉の方は、先述の3つのたんぱく質を加熱することで温度が上昇し、変化します。温度上昇するで、生肉のグニョグニョっとした食感の状態より弾力性が増し、歯切れがよくなり、美味しく頂くことができるというわけなのです。

では、ポイントになるたんぱく質の変性を見てみましょう。

【たんぱく質の変性について】
50度:ミオシンが変性を開始する
ミオシンが収縮して、弾力が生まれることにより、生肉のグニーッって食感から、ブツッと歯切れの良い食感に変化します。

56度:コラーゲンが変性を開始する
コラーゲンは筋みたいで、超硬質のゴムみたいな食感ですが、この温度から徐々にやわらかく溶けていき、トロトロのゼラチン質になります。

60度:肉の色が変色し始める
真っ赤だった肉が、透明感を失ってきて、ほんのり桜色になってく頃合いの温度。

65.5度:アクチンが変性を開始する
アクチンは、水分をたっぷりつかんでいるタンパク質なので、熱が加わって収縮することで、水分を外に絞り出してしまう、いわゆる「肉汁」を外に排出してしまいます。
(※参照:Cooking Maniac)

つまり肉は、60度以上で10分以上熱することで殺菌され、65度以内の温度で、肉汁のキーになるアクチンの変性をギリギリ防ぎきることができます。肉汁が放出されない温度、それが60度~65度で肉の美味しい温度といえるのです。

低温調理法では、60度を目途に時間をかけて調理をしており、殺菌的にも肉汁放出を防ぐ意味でも理にかなった方法だったのです。

先日、訪店した「29on」のアネックスで提供された低温調理の例でも

・ サラダ春菊と和牛のシンシンの雲丹ソースがけでは、シンシンは60度で3時間

・ カモ肉のバルサミコソースでは、カモ肉は、60度で4時間

・ 牛タンのほうれん草カレーソースでがけ牛タンは、63度で12時間

温度をマネジメントし、時間をかけて調理されていました。特に牛タンは焼き肉とは違い、何度も押し返してくるような弾力が特徴的で、咀嚼により、楽しむことが出来ました。

西麻布けんしろうのスペシャリテ"けんしろう焼き"も低温調理(+瞬間燻製)の代表格です。

ガラスの蓋を開けると同時にふわっと舞う煙から登場するのは、桜チップで燻して香りをつけ、トリュフ塩で頂く、最高のスペシャリテなのです。

低温調理をまだ味わったことがないという人は、ぜひその魅惑な味わいを一度堪能してみてください。

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