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連載:むむ先生の"食"超解説シリーズ

「砂糖=悪」だと思ってない?肉を柔らかくする性質をはじめ、味方にしたい砂糖の効果

Rettyグルメニュースをお読みの皆様、こんにちは。「むむ先生」こと、杉村です。

ライター紹介

杉村啓
杉村啓
日本酒ライター、料理漫画研究家、醤油研究家。 日本酒の基本から歴史・造り方までを熱く語った『白熱日本酒教室』やタモリ倶楽部でも紹介された醤油の奥深さを書いた『醤油手帖』など、食に関する書籍を多数執筆。「むむ先生」として食のコラムや紹介を各メディアで担当。8月末には、グルメ漫画の半世紀を辿る新著『グルメ漫画50年史』を上梓。

「むむ先生の"食"超解説シリーズ」も、とうとう20回目です! ここまで続いているのも、読んでくださる皆様のおかげです。ありがとうございます。

そんな20回目の記念すべきテーマは「砂糖を料理に使うとどんな効果があるの?」です。

世間では低糖質ダイエットがブームになっていたり、多く摂取すると生活習慣病を引き起こすとされて、ちょっと悪者(?)にされがちな砂糖。

でも、その効能は非常に幅広く、単に甘味やコクを加えるだけではない、料理に必須の調味料なのです。

今回はそういった砂糖の働きと、よくある疑問について答えていきたいと思います。

砂糖は水によく溶ける

砂糖は料理に使うとさまざまな効果をもたらしますが、その主な原点となっているのは「砂糖は水によく溶ける」ということです。

似たような調味料として、塩と比較してみましょう。

塩は、20℃の水100gに、36gが溶けます。温度が上がると溶けやすくなるのですが、80℃に上がっても38gほどです。

一方の砂糖は、20℃の水100gに約200gが溶けるのです。
さらに、80℃に上がると約369gほどが溶けます。20℃では水の量の2倍、80℃だと3倍以上が溶けるのですね。

塩に比べて、だいぶ溶けやすいというのがイメージつきましたでしょうか。

「さしすせそ」の順番には意味がある

和食の基本調味料を指す言葉として有名な「さしすせそ」

いわゆる「砂糖」「塩」「酢」「醤油(せうゆ)」「味噌」ですね。煮物などを作るときには、この順番に加えていけばいいとされています。

水により溶けやすいのは砂糖なのだから、塩を先に加えても、後からよく溶けるように思えるかもしれません。でも、実際には砂糖を先に加えた方がいいのです。

料理に使う場合には、できる限り多量に溶かせばいいというわけではありません。

実は食材に味が染み込むのは、塩の方が砂糖よりも早いのです。塩を先に加えてしまうと、食材の中に塩が浸透し、後から砂糖が入ろうとしてもうまく入れないということになるのですね。

これは、分子量に起因します。ちょっと化学式を書きますが、砂糖(主成分はショ糖)は「C12H22O11」に、塩は「NaCl」と表します。

この化学式を見ると砂糖は、Cが12個、Hが22個、Oが11個と、たくさんくっついてとても大きいと思ってください。

一方の塩は、NaとClが1個ずつです。我々の目では同じ大きさの結晶に見えても、分子の状態だと砂糖の方がとても大きいのですね。

食材に味が染み込むというのは、食材の隙間にこれらのものが入り込むということをイメージしましょう。つまり、先に塩を加えてしまうと、塩の小さい分子が隙間をびっしり埋めてしまうため、大きい砂糖が後から入りにくくなるというわけです。

一方で、大きい砂糖が先に入っても、まだ隙間が十分にあります。そこに、塩が入り込むというわけです。したがって、砂糖→塩の順番に加えた方が、どちらの味もよく染み込むのですね。

ちなみに、酢は熱を加えると揮発してしまうのでその次に。醤油や味噌は発酵食品で、香りが重要なため、途中で香りが飛ばないように最後に加えるというわけです。

砂糖による保湿効果

水に溶けやすいという砂糖の性質は、言い換えると水をたくさん引きつけるということでもあります。そのため、何かを水に溶かすときに、砂糖を混ぜた方がすばやく溶けるのです。

たとえばココアを作るときには、ココアパウダーと砂糖をよく混ぜてから溶かすと、ダマにならないでココアを溶かすことができます。

この効果は、単にいろいろなものを溶かしやすくするだけではありません。ご飯やパンを柔らかく保つ効果にも表れているのです。

ご飯やパン、お餅などのでんぷんが豊富に含まれている食品は、加熱すると膨らんで、柔らかく食べやすくなるのですが、冷めると硬くなってしまいます。冷めて硬くなることを、「でんぷんの老化」と言います。

この「でんぷんの老化」を、砂糖は遅らせることができるのです。水をたくさん引きつけている砂糖をプラスすることで、水分が抜けるのを防ぎ、老化を防いでいるのです。

この効果は、酢飯にも現れています。酢飯に砂糖を加えた方が、硬くなりにくく、保存性が良くなります。さらには、少し時間が経っても柔らかいままな和菓子も、この効果を利用しているのです。

砂糖は肉を柔らかくする!?

この保湿効果は、さまざまなものと水分が、砂糖を介して結びつくということでもあります。たとえば、たんぱく質(コラーゲン)とも、砂糖が加わることで、水分がたくさん結びつきます。

たんぱく質は加熱すると硬くなります。そこに砂糖を加えることで、硬く締まるのを防いでくれるのです。

代表的なのは、砂糖を加えた玉子焼きでしょうか。砂糖をたっぷり入れて焼くと、甘いだけでなく、ふっくら柔らかく仕上がります。

砂糖を加えないで玉子を焼く料理、たとえばスクランブルドエッグなどは、しっかりと火を通すとだいぶ硬くなると思います。でも、砂糖が入った玉子焼きは同じように火を通しても、柔らかいのですね。

このように、砂糖にはたんぱく質が熱で硬くなること(これを熱凝固と言います)を抑制する効果もあるのです。

これを利用すれば、加熱したお肉を柔らかく食べることができます。たとえばビーフシチューでは、肉に砂糖をよく揉み込んでから調理をすると、早く柔らかくなります。

この効果を最もよく使われているのが、関西風のすき焼きでしょうか。最初に肉を焼き、砂糖と醤油をどばっと入れるのが関西風ですが、砂糖をたっぷりと加えているのがポイントなのです。

基本的に薄切りの肉は加熱して火が完全に通ると硬くなるのですが、砂糖のおかげで柔らかく保つことができるというわけですね。

というわけで、肉に砂糖を加えると、甘味やコクや、焼き色などだけではなく、保湿効果で柔らかく保つことができるのです。これは薄い肉には特に効果的なことで、厚いステーキ肉をミディアムレアに焼く場合には必要ありません。

砂糖の色は何の色?

よくある誤解で、砂糖は本来は色がついているものであり 、市販の白い砂糖は漂白されているので健康に悪い…というものがあります。これはもう、全くの間違いです。

そもそも砂糖や、ついでに言うと塩も、純粋な結晶は無色透明です。つまり、色はついておらず、白く漂白もしていないのです。

透明な粒がたくさん集まることによって光が乱反射し、白く見えているというだけなのです。一粒だけをとりだして虫眼鏡とかでじっくりと見ると、透明だということがわかるでしょう。

色も、基本的には砂糖以外の不純物が含まれているだけです。ミネラル(灰分)とかですね。じゃあ、色がついている三温糖とかの方がミネラルが多くて健康にいいじゃないかと思われるかもしれませんが、そこもちょっと誤解があります。

確かに三温糖の方がミネラルは多いです。でも、具体的な量を見てみましょう。白い砂糖にミネラルは約0.01%ほど含まれています。含まれているというか、ほとんどゼロですね。

一方の三温糖は、約0.25%です。普通の砂糖に比べると、25倍も多く含まれていると思われがちですが、大さじ一杯(9g)に換算すると、0.02gしか含まれていないことになります。

たとえば牛乳1本(200ml)に含まれているミネラルのうち、カルシウムが約0.2gということを考えると、そもそも砂糖に含まれているミネラルの量がどれだけ少ないかがわかるのではないでしょうか。

砂糖でミネラルを摂取するよりも、他の食べ物でしっかりと摂取した方が効率的というわけですね。

低糖質ダイエットも大事ですが、砂糖は有効に使えば使うほど、料理の幅を広げてくれます。そして、色がついていようがついていまいが、砂糖からミネラル等を摂取するというのは非効率だと覚えておきましょう。

【むむ先生のイチオシ調味料〜砂糖編〜】

食べて良し!調理に使っても良し!ということで、ここ数年ちょくちょく買っているのが、沖縄物産販売の『手作り純黒糖』です。

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アルミの皿に入っていて、見た目にも面白いこの黒糖は、自分で砕いて使います。砕いたひとかけらをそのまま食べてもこれがとても美味しいのですね。

上質な黒糖キャンディのような味わいと言いますか。黒糖ならではの風味がたっぷりと詰まっています。

意外なところでは、古酒などのつまみとして少量ずつ食べたりしても美味しいですよ。

■漫画で解説!日本酒教室

日本酒に興味はあるけど、「なんだか難しそう」「どれを選べばいいのかわからない」……。そんなあなたのための“日本酒教室”、はじまりはじまり!詳しくはこちらから http://sai-zen-sen.jp/comics/twi4/nihonshu/0002.html

■グルメ漫画の歴史をまとめた本『グルメ漫画50年史』を出しました

50年にわたるグルメ漫画の歴史を、10年ごとに区切り、当時の食文化からどういう影響を受けてきたのか、そして食文化にどういう影響を与えてきたのかを記しました。

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