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連載:塩見なゆのせんべろ酒場

一周まわって王道レモンサワーにたどり着く。ハイサワーの街「ムサコ」ではしご酒

こんにちは。酒場案内人の塩見なゆです。日本全国津々浦々、飲みまわってその魅力をお伝えいたします。

ライター紹介

塩見なゆ
塩見なゆ
酒場案内人/フリーランス。作家で飲兵衛の両親に育てられた生粋のお酒好き。毎日5軒以上はハシゴ酒、年間2,000軒の酒場を飲み歩いています。Web・TV等で酒場情報を発信中。

いま、居酒屋では空前のレモンサワーブームです。

氷の代わりにカチカチに凍らせたレモンを使ったり、シャーベット状にしたレモンエキス入りの焼酎を使ったシャリシャリ系など、進化系レモンサワー真っ盛り。

派手なレモンサワーはSNS映えもしますし、なにより見て楽しい、飲んで楽しい一杯です。

ただ、しばらく飲んでいると思い出してくる、酒場のいつものあの味。

本来の大衆酒場の二杯目ドリンクとして飲んでいたあの味が、一周回って恋しく感じませんか。

そんな酒場の王道レモンサワーを飲み歩くならば、おすすめは目黒区武蔵小山です。

武蔵小山、通称「ムサコ」はハイサワーの街

目黒区・品川区民が愛称「ムサコ」と呼んで親しんでいるこの街は、東急目黒線の中でもひときわ昭和の街並みが残る地域で、駅前には大きな商店街や、ちょっとした路地、そして大好物の大衆酒場が日中から提灯を灯してノンベエを誘っています。

そして、実はこの街、レモンサワーと深い関係があるんです。

覚えていますか?「割るならハイサワー」のCMソング。「お客さん、終電だよ!」という言葉で飛び起きるお父さんの姿が浮かんだ方は、同年代かも?

ハイサワーをつくる株式会社博水社は、ここムサコの会社です。

もともと、清涼飲料水や炭酸水を製造していた博水社は、卸先の大衆酒場の一軒に、当時は中目黒にあった、現在は祐天寺で営業する「ばん」というお店がありました。

「ばん」では、博水社の炭酸に、生搾りのレモンをいれた「サワー」が大人気で、この「ばん」こそ、レモンサワー発祥のお店と言われています。

そこで思いついた博水社の先代(二代目・田中専一氏)が、生搾りをせずとも、最初からレモン汁を混ぜた炭酸水を開発。

我輩(田中専一氏)のサワーだからハイサワーと命名し、1975年より発売。「これが大ヒットし、目黒区から東京中へと広まりました。

レモン果汁入りの炭酸としてのパイオニアであり、酎ハイのことを「サワー」とも呼ぶようになったきっかけのひとつであるとも言われています。

武蔵小山はハイサワーの街。

町おこしやイベントでも博水社が積極的に動かれていて、その結果、もともと多いムサコの大衆酒場はますます活気づいています。

神田や新橋もいいけれど、ちょっと変わった、どこか懐かしい街でレモンサワーはしごをしてみませんか。

1.正統派コの字でハイサワー「牛太郎」

武蔵小山を代表する老舗酒場。戦後すぐに浅草に誕生した牛太郎。

その後、独立するかたちで武蔵小山に店を構え、半世紀にわたって地元に愛されているお店です。

もつ焼きや煮込み、スパサラをつまみに正統派酒場の空間に身を置けば、幸せいっぱい。

「働く人の酒場」がキャッチフレーズ。

大きなコの字でベンチシート、リーズナブルな価格の食べ物とお酒で、みんな普段遣い。

開店の頃には満席に近い賑わいですが回転もよいので、ぜひ暖簾を覗いてみてはいかがでしょうか。

配達があたりまえになった今も毎日、博水社へリターナブル瓶のハイサワーを仕入れに行くそうです。

2.絶品肉中華「紘月」

昭和の街並みが残るムサコ。町中華も元気です。

「紘月」は肉料理が絶品の店。安くて早いは当たり前。たっぷり手間ひまかけた肉中華は、日本人にとって懐かしいと思える昔の中華店の味そのもの。

16歳の時に中華の道に入り、しばらく沖縄で店を経営後にこの街に来て幾年。笑顔が素敵なご主人と奥様で二人三脚で営業されています。

昼はスタミナたっぷりの昼食処。夜は安くてお腹いっぱい食べて飲める、町中華として賑わうお店。

日曜日は通し営業されていますので、休日のムサコ散策の給水スポットとしてもぜひ!

3.釣り好き大将の自慢の魚と天ぷら「大国屋」

レモンサワーは揚げものとの相性は抜群です。天ぷらと合わせるとなると、日本酒やビールのイメージがどうしても強いですが、いやいや、飲み屋として楽しむならばサワーもいいものです。

武蔵小山から隣駅・西小山までは徒歩数分の距離。

途中にも酒場がぽつぽつと点在するので、はしご酒にもちょうどいい位置関係。目指すお店は大国屋。

こちらもご夫婦で営むアットホームな酒場です。

釣り好きのご主人が釣ってくる魚は、お刺身や天ぷらで。お客さんは地元の方がほとんどで和やかな雰囲気です。

はじめての方も溶け込めるムードなのも嬉しい。一品から頼める庶民派天ぷらはどれも絶品です。

4.目黒区なのに一歩入れば沖縄・浦添「めんそーれ」

女将さんは浦添出身の生粋のウチナンチュ。

創業18年目。400円台の沖縄料理がずらりと並び、カウンターでざっくばらんに飲んで笑える沖縄酒場。

那覇の国際通り沿いにあるようなザ・沖縄郷土料理という雰囲気とは全く異なり、本当に沖縄のどこかの町の食堂兼スナックに迷い込んだような雰囲気です。

ボリューム満点のポーク玉子(400円)やゴーヤチャンプルー(450円)は、まさしく沖縄の味。

豚料理にレモンサワーはもちろん好相性。

カウンターは満席に近い賑わいで、地元の人に愛されることがよく分かる酒場です。こういうお店こそ、ぜひ冒険気分で若い酒場好きの方にも覗いてみてもらいたいです。

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