Rettyグルメニュースをお楽しみの皆さん、こんにちは。Retty TOP USERで生粋のコーヒーマニア、Kaya Takatsunaです。
コーヒーの世界で活躍するキラリと光る素敵なコーヒー男子に会いに、東京・代官山の「Saturdays NYC TOKYO」 (サタデーズ・ニューヨークシティ・トーキョー)」に行って来ました。
第3回目のバリスタは、石谷貴之さん。石谷さんは、2017年ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)で見事優勝されました。今月、オランダ・アムステルダムで開催されるワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)に日本代表として出場します。
実は、石谷さんはチャンピオンになるまで、12年間も優勝目指してチャレンジし続けました。
Saturdays NYC TOKYOでバリスタをされている石谷さんに、世界大会出発前の貴重なお時間をいただき、石谷さんのコーヒーに対する思いやこれからのことを色々と伺ってきました。
【コーヒー男子ファイル 03】
名前:石谷貴之 Takayuki ISHITANI
誕生日:4月6日
出身地:長野県上田市
趣味:お寺巡り、バー巡り
会えるお店: Saturdays NYC TOKYO
—Saturdays NYCはアパレルショップですが、石谷さんはここでどのようなお仕事をしているのですか?
Saturdays NYCは、ライフスタイルを丸ごと提案しているお店で、コーヒースタンドがあるのですが、そこでコーヒー豆の選定や従業員の育成などの監修をしています。 僕も教えながら月に数回はバリスタとしてお店に立っていますよ。
—お店にいない時は何をしているんですか?
僕はフリーランスのバリスタなんです。お店に立つのはここだけですが、他の会社とも契約があるので、トレーニングしたり、イベントやセミナーでコーヒー淹れたり、メニュー開発したりしています。
—バリスタはそういう働き方もあるのですね。ところで石谷さんがコーヒーの世界にハマったきっかけは?
たまたまです。昔、表参道のアニヴェルセルでギャルソンをしていた頃、先輩が辞める時に初めてエスプレッソマシンに触ったのですが、その時に自分で淹れたエスプレッソが全然美味しくなかったんですよ。
「淹れた人によってなぜこんなに味が違うんだろう?」っていうところからハマりました。コーヒーが好きでバリスタを始める人が多いけど、僕はもともとコーヒーは飲まないんです。
—え?コーヒーお嫌いなんですか?
「コーヒー好きですか?」って聞かれたらちょっと首かしげますね(笑)。コーヒーを飲む習慣のない家庭で育ったし、美味しいと思ったこともない。もちろん仕事では飲むし、テイスティングもしますよ。
でもレストランで食後にコーヒーか紅茶かって聞かれたら、絶対に紅茶派です(笑)。 休みの日は滅多にコーヒーを口にしないです。話すとみんな結構ビックリしますよね。
—笑!!コーヒー好きじゃないバリスタチャンピオン!
でもコーヒーが好きじゃないおかげで、味を主観で判断しないのは良かったと思ってます。広く客観的に見れることって大会に出る場合は凄く大事なんですよ。
—奥深いですね。石谷さんは大会で優勝するまで12回もチャレンジなさったんですよね。
バリスタでやっていこうって決めた時に、実際自分のレベルってどのくらいなのか知りたかったので、腕試しと思って軽い気持ちで最初に出たのが2007年です。今まで3位が3回、準優勝が3回です。
—その間、なかなか優勝できなくて諦めたくなりませんでしたか?
いや、確かに負けた日は悔しいですけど、逆にもっとやってやろうっていう気持ちが湧いてきて、次の日からまた頑張れるんですよ。
—今年優勝したのは何かご自身に変化があったんですか?
メンタル面で大会への臨み方がちょっと変わりました。大会のために毎年とにかく練習して、数ヶ月前から食事を節制して禁酒もして縁起を担いでいたんですけど、今回は厳しい食事制限をやめて、お酒もほどほどに飲んで少しリラックスして挑んだんです。それから周りの人たちにも助けられました。
—バリスタの大会で勝つには何が一番重要なのですか?
味ですね。審査はエスプレッソ、ミルクビバレッジ、シグネチャービバレッジの3つのドリンクの総合得点で競います。あとは技術とプレゼンテーション。
レストランでお水を出される時でも、スッと出された時とドンと出されたときで、味は同じはずなのに感じ方が全然違うじゃないですか。もちろん味は重要なんですけど、プレゼンテーションがかなり影響するのも事実。いかに心地良い時間を提供できるかどうかも重要かなって思います。
—もうすぐアムステルダムで世界バリスタ大会が開催されますが、今は大会に向けてどんなことをしているのですか?
英語の練習とプレゼンテーションの最終確認をしています。
—楽しみですね。ところで石谷さん、普段休日は何をして過ごすのですか?
歴史が好きで、休みが数日あったらすぐに京都に行ったりしますよ。丸い窓と四角い窓が有名な源光庵(げんこうあん)ていう お寺が好きです。緑も好きですね。天気のいい日はだいたい外でぼーっとしてます。
それから、ここ2-3年はバーによく行くようになりました。所作も凄いし、バーテンダーさんからは学ぶことがたくさんあるんです。最近は、「ミクソロジー」っていうリキュールを使わずに新鮮なフルーツや野菜、ハーブ、スパイスなどで作るカクテルが流行っているんですけど、作り方を教えてもらうこともあります。
—ところで、Saturdays NYCオススメのドリンクは?
定番のカフェラテと、クラッシュしたコーヒービーンズが入ったクッキーはオススメです。
—このカフェラテ、お砂糖入れてないのに甘いですね!
ミルクを入れた時にコーヒーの甘さが引き立つように、ブレンドの配合や焙煎の焼き具合を調整しているからです。コーヒー苦手な方でもしっかり美味しさを感じてもらえるように作っているんですよ。
—最後に石谷さんが描くゴールを教えてください。
自分のコーヒーが美味しいと思ったらこの業界をやめようと思ってます。今は満足できてないし、好きにもなれていないので、まだまだですね。
—チャンピオンになったのに、まだご自分のコーヒーが美味しいと思わないんですか?
美味しくするためにまだできることがあると思うし、どうしたら美味しくなるかをずっと考えていたいんです。その答えを手に入れたいけど、そしたら美味しくなっちゃうから、答えが見つかってほしくないとも思ってますね。かなり矛盾してますけど(笑)。
まさかコーヒーのチャンピオンからコーヒー嫌いの話をお聞きするとは想像もしていませんでした。笑顔がとっても素敵な石谷さんですが、話す内容はとてもユニークで、なかなかの個性をお持ちのかたでした。12年越しで掴んだ世界大会への切符。思いっきり楽しんできてください!
次回のコーヒー男子図鑑もお楽しみに!
(Photo: Atsuko Tanaka)
ライター紹介
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Kaya Takatsuna
- Retty TOP USER。美味しいコーヒーがあるだけで幸せな人。コーヒー好きすぎて、コーヒーの味を評価する国際資格”Qグレーダー”まで取得してしまいました。地元で川越コーヒーフェスティバルを主催してます(^^) アイスクリーム、あんこ、チョコレートも中毒レベル。
- Saturdays NYC TOKYO
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東京都 目黒区 青葉台
コーヒー専門店