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連載:コーヒー男子図鑑

16歳の焙煎士がコーヒーを通して見た世界。喫茶店文化に影響を受けた青年がこれから進む道

Rettyグルメニュースをお楽しみの皆さん、こんにちは。Retty TOP USERで生粋のコーヒーマニア、Kaya Takatsunaです。

コーヒーの世界で活躍する素敵な人たちを特集する「コーヒー男子図鑑」。記念すべき第10回目のゲストはホライズンラボの代表で焙煎士の岩野響さんです。岩野さんは、昨年4月に15歳という若さで群馬県桐生市に「ホライズンラボ」をオープンしました(現在ラボは休業中)。小学校の時にアスペルガー症候群と診断され、不登校を経験した岩野さんの人生を変えたコーヒーには、一体どんな力があったのでしょう。

【コーヒー男子ファイル10】
名前 : 岩野響 Hibiki IWANO
誕生日 : 3月2日
出身地 : 群馬県桐生市
趣味 : 古着のリメイク 音楽鑑賞
会えるお店 : 国内外のコーヒーイベントなど

—お久しぶりです!1年半前と比べて、随分と身長も伸びて、顔つきもますます精悍になりましたね。髪もさっぱりして、まるで僧侶みたいです。

あはは!よく言われます。髪型は気分転換で。暑かったし、そろそろいいかなぁって短くしました。

—2017年に15歳で「ホライズンラボ」をオープンしてから、多くのテレビやメディアに取り上げられ、本も出版されましたが、激動の一年だったのではないですか?

もう凄かったです。最初はこじんまりとやっていければいいなって思っていましたが、僕のコーヒーをたくさんの人に飲んでもらえたおかげで、いろんな国籍や職業の人達と出会うことができました。

—響さんのコーヒーを飲んだ人は、どういう感想を持ったんでしょうか?

本当に皆さん違うんです。20年くらい前に飲んでいた喫茶店の味みたいって言ってくれる人もいましたね。それに、僕の焙煎もこの1年半で変わりました。

—ご自分で焙煎が変わったのがわかるんですか?

昨年7月にネパールの農園を見に行ったとき、コーヒーが収穫されてからどういうルートで僕のところまで来てるのかっていうのを詳しく教えてもらったんです。

それを知った時に、もっともっとコーヒー豆を丁寧に焙煎しなければいけないなっていう気持ちになったんです。

—凄い!

農園て山の高いところにあるから、道路が整備されてなくて、運んでいる途中に車が道から落っこちてしまいコーヒー豆が全部ダメになっちゃうこともあるそうです。

そういうのを聞くと本当にいろんな人の手助けがあって僕のところに来てくれたんだって思って。

—焙煎で一番大事にしてることは?

一番は、感覚的な部分になってしまうんですけど、コーヒー豆自体が心地よく焙煎されているってことを大事にしています。

—コーヒー豆が心地良いとは、どういう豆を見たら心地良さそうって感じるんですか?

一番わかりやすいのが、コーヒーにムラができてないことです。他にも水分の抜け具合とか、焙煎の色の変化のスピードとか、ドラムの回転率とか、焙煎の間もチェックするんですけど、いい状態の時はコーヒー豆に輝きがあるんです。

—輝きですか!今は響さんが焙煎したコーヒーを、どのように販売しているのですか?

毎月テーマを決めて焙煎した豆を、主にオンラインで販売しています。あとは、 渋谷のヒカリエ8階の「D&DEPARTMENT」などセレクトショップで、豆のパッケージ販売をしていただいてます。レストランやカフェだと、この近くの「NILS(ニルス)」さんで飲むことができます。

—響さんがコーヒーを始めるまでのこともお聞きしたいんです。桐生で生まれ育って、小学校の3年生の時にアスペルガー症候群と診断されましたが、当時はどのような生徒だったのですか?

単純に他の子達とは馴染みにくかった。そこの部分で苦しいことはよくありました。中学校に行ったら、もっとその部分が大きくなっていった感じです。

それで、中学に行かなくなってから、自分の居場所がなくなってしまい、ずっと家にいて何もしないまま時間が過ぎ去ってしまって。

—それは辛かったですね。

「これからどうしよう」ってずっと考えていたところ、父親から「何か興味があるものをいろいろやってみたら」って言われて。

料理だったり、カレーのスパイスだったり、化学工作だったり、自分に合うものって何だろうって色々と探している中で、昔から好きだったコーヒーもやってみようと始めたんです。

—色々これも違う、あれも違う、ってやったのに、コーヒーは「これだ!」って思ったのはなぜですか?

コーヒーは、全部一人で完結するからすごくやりやすいんですよね。それに、焙煎自体は長い時間かければ美味しくなるわけじゃないし、短い時間の中でいかに美味しく作るかっていうところが自分に向いていたんだと思います。

—コーヒーに夢中になってからお店をオープンするまではどのくらいですか?

1年半くらい。お店を開ける3ヶ月くらい前から僕のコーヒーをいろんな人に飲んでもらう機会が増えて、「美味しいよ」って言ってもらえて勇気付けられたのがあって、そろそろやってもいいかなって思ったんです。

それで、新学期の4月に、「やるだけやってみよう」って始めた感じですね。

—それが瞬く間に、口コミで広がって話題の人気店になりました。それなのに、わずか数ヶ月後の8月に閉店してしまいました。その理由も聞かせていただけますか?

はい。いろんな方が来て下さってとても嬉しかったんですけど、例えば鹿児島からはるばる来てくださったのに、コーヒーを提供できなかったっていう時があったんです。僕は凄く悲しくて、本当に申し訳ないなっていう気持ちになってしまって。
桐生自体が東京からも遠いのに、九州や関西方面からたくさん来てくださって、本当に心苦しくて。。。

—そうだったのですね。これから響さんはどうしていきたいんですか?

コーヒーに関してはもっともっと色んなことを高めて、いろんな人と繋がっていきたいし、ホライズンラボに関しては、ラボって「実験」という意味を込めたので、コーヒーに限らずいろんなことに挑戦していきたいです。今は僕の好きな洋服を色々作っています。

—どんどん才能が開花していきますね! どんな洋服が好きなんですか?

最近は古着の解体をやってます。自分でつぎはぎにして、違う素材と合体させたりして新しい服にするっていうのをやってます。古いものを元に、自分で新しいものを作れないかなっていう感じで。

—素晴らしい!海外にも頻繁に行かれるそうですね。

ネパール、パリ、先月は香港に行きました。香港はワインイベントの主催の方にお誘いいただいて打ち合わせに。イベントでコーヒーのブースを出させていただくんです。ようやく外に出る行動力もついて来た気がします。

—世界中にどんどん繋がりができていきますね。今おいくつでしたっけ?

今年の3月で16歳になりました。

—まだ16年しか生きてないんですか?私、自分と同じ歳くらいの人と話している気分でした(笑)

同じ歳くらいの子と話す機会がむしろあまりないです。大体仕事は年上の人だし。

—なるほど。では、響さんと同じように今、学校が合わなくて悩んでる子たちに何かアドバイスいただけますか?

悩んでる時って何もできないまま時間だけが流れてしまいますよね。僕も自信がなくて、何をやっても無駄だって思いがちだったんですけど、面白そうだなとか、これだったらできそうだなって思ったら、すぐに行動するのがやっぱり一番いいんじゃないかと思います。

—学校はそんなに重要じゃない?

まぁ学校に行けなくて悩んでいるんだったら、やっぱり重要とは思わないですね。

—学校も本当にいろんな問題を抱えていますしね。ところで、響さんがコーヒーに関して一番影響を受けているものって何ですか?

僕が影響を受けたのは、喫茶文化ですね。もちろんコーヒーもそうですけど、喫茶店の「エンターテイメント」の部分や、店主と常連さんのコミュニティだったり、お店の佇まいだったり、コーヒーをゆっくり楽しむ精神などからは影響を受けてますね。

—もしかして過去からタイムスリップして来たんじゃないですか?(笑)

あははは。僕はやっぱり喫茶店のスローなペースで楽しむコーヒーが好きなんです。

—では最後に、コーヒーを通して響さんが得たものを教えてください。

単純に生き方もそうだし、コーヒーを通してたくさんの人に出会えましたし、焙煎もそうですけど、コーヒーの様々な見方や感じ方を知って、色々な視点から物事が見えるようになったし。コーヒーのおかげで、僕が凄く成長できたと思いますね。

***

美しい佇まいで、ネルドリップでゆっくり淹れてくださったのは、優しく柔らかな深煎りブラジル産コーヒーでした。

新しい一歩を踏み出した響さんのコーヒーが、これからどう変化していくのか、響さんの成長と共に楽しみにしたいと思います。

次回のコーヒー男子もお楽しみに!

ライター紹介

Kaya Takatsuna
Kaya Takatsuna
Retty TOP USER。美味しいコーヒーがあるだけで幸せな人。コーヒー好きすぎて、コーヒーの味を評価する国際資格”Qグレーダー”まで取得してしまいました。地元で川越コーヒーフェスティバルを主催してます(^^) アイスクリーム、あんこ、チョコレートも中毒レベル。
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