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連載:「脱シェフ」ラーメンを追え!

年商4億を捨て、ラーメン道へ--市ヶ谷・Due Italian(ドゥエイタリアン)の「らぁ麺フロマージュ」誕生秘話

ライター紹介

小林孝充
小林孝充
TVチャンピオンラーメン王選手権第8回優勝。ラーメンWalker百麺人。 歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝し"初代ラーメン大王”に。累計13000杯のラーメンを食べたラーメン界のトップランナー。

イタリアンやフレンチなど、一流レストランで腕をふるったシェフが独立し、開業するラーメン屋を特集する「脱シェフ」ラーメン企画

第2弾の今回、取材したのは市ヶ谷に本店を構える「Due Italian(ドゥエイタリアン)」。ドゥエはイタリア語で数字の「2」を表す言葉。「脱シェフ」ラーメン企画第2弾にふさわしいお店といえる。

とてもラーメン屋とは思えないこの外観。果たして、どんなラーメンが出てくるのか。

年商4億からラーメンの道へ

▲石塚和生さん

▲石塚和生さん

DueItalianの店主である石塚和生さん。石塚さんが料理人になったのは40年前、17歳にまでさかのぼる。その頃は"イタ飯ブーム"が起こるはるか昔、日本でイタリアンというジャンルもまだまだ曖昧だった時代である。

何軒ものレストランを渡り歩き、26歳で独立。オーナーシェフとしてイタリアンのレストランを6店舗経営し、年商4億まで拡大。そう、恐れるものは何もない順風満帆な人生を送っていた。

そんな石塚さんに転機が訪れたのは41歳の時。某TV番組のラーメン企画で、お店からシェフを出して欲しいと言われ、「じゃあ、自分が」と自ら出陣。その時点では、ラーメンにはまったく興味なし。プロフィールにも「好きなラーメン店はナシ」、「好きなラーメンは、チャルメラとサッポロ一番」と書いたという。

なかばラーメンを馬鹿にしながら参加したその番組で、石塚さんは運命の出会いを果たす。それは、ラーメンの鬼とも呼ばれた「支那そばや」の佐野実さんとの出会いだ。会場で佐野さんのラーメンにかける思い、食材へのこだわりをまざまざと見せつけられ、胸を鋭いもので刺されるような衝撃を受けたという。

その衝撃は、番組終了後も胸の中でくすぶり続ける。そして、自分でもラーメンを作りたいという気持ちが次第に膨らんでいく…。そんな折、その番組の企画時に立ち上がっていたラーメン屋「ラーメン道」を引き継がないかという話が舞い込んだのだ。

ここで石塚さんはひとつの大きな決断を下す。「ラーメン屋をやる」。そして、ラーメン屋をやるからにはと、それまで持っていたレストランをすべて手放してしまうのである。

そして、店名を新たに「ラーメン道 Due Italian」のオーナーとなった。そしてDue(2)にはイタリアンとラーメン2つの顔という意味、そして第二の人生という意味が込められている。

まろやかなチーズと麺がからむ「らぁ麺フロマージュ」

Due Italianの代名詞ともいえるメニュー「らぁ麺フロマージュ」

鶏をベースとした厚みのある塩味のスープに真っ白いチーズがかかっている。

麺を持ち上げるとこのチーズがねっとりと絡んで、一緒に口の中に入ってくる。麺は香りを重視したもので、決してチーズに負けることはない。食べ進むうちにチーズがどんどん溶けていき、スープと一体化することで非常にコクのあるスープが完成する。

このフロマージュにチャーシューは合わないからと、その代わりに生ハムを乗せる(※生ハムは別途注文が必要)。
火が通らないように生ハムを丼の縁に乗せると、彩りもよりイタリアンを思わせるものとなる。スープのコクに生ハムの塩っ気がいいアクセントになるのだ。

締めには玄米ご飯が付き、リゾット風にして提供。イタリアンの根幹にあるしっかりお腹いっぱいになって欲しいという思いからだそうだ。

イタリアンの技法が集約された至高の一杯

石塚さんに、この一杯のどこにイタリアンシェフの技術が生かされているのかを聞いた。すると、当初予想していた「チーズ」という回答ではなく、返ってきたのは「油の扱い」という意外な答えだった。

確かに、イタリアンはフレンチなどに比べてオリーブオイルなどの油を重視する。実はこのお店、当時他ではほとんどやっていなかった革新的な油の使い方をしている。

それは、鶏油(ちーゆ)をスープを取ったときに別にしておき、ラーメンの仕上げに上からかけるのだ。今でこそ同じ工程をしている店もあるが、これを10年以上前からやっているのは驚嘆に値する。

このお店には、「トマトらぁ麺」や「レモンらぁ麺」などイタリアンを思わせるラーメンが多々あるが、必ず商品化の前にすべてのラーメンの麺をパスタに代えて試食をするという。
「パスタも試したうえで、ラーメンの麺で作ったほうが美味い」という域に達しない限り、商品化はしないと決めているらしい。そうでなければ、ラーメンである意味がないからだ。

この企画は「脱シェフ」ラーメン屋というテーマではあるが、石塚さん自身は今でもシェフと名乗り、実際に店員からもシェフと呼ばれている。この店以外にラーメン店でシェフと呼ばれる店主は聞いたことがない。

2017年6月には日比谷パークフロント内に初めてItalianの文字を使わない新ブランドをオープンする。「ここでは、イタリアンに縛られず、自由な食材でラーメンを作りたい」。石塚”シェフ”の挑戦はこれからも続いていく。

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