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連載:「脱シェフ」ラーメンを追え!

「辿り着いた結論は王道」 日本一になったラーメン職人が、いま食べてほしいと語る”醤油ラーメン”の極み

ライター紹介

小林孝充
小林孝充
TVチャンピオンラーメン王選手権第8回優勝。ラーメンWalker百麺人。 歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝し"初代ラーメン大王”に。累計13000杯のラーメンを食べたラーメン界のトップランナー。

イタリアンやフレンチなど、一流レストランで腕をふるったシェフが独立し、開業するラーメン屋を特集する「脱シェフ」ラーメン企画。この脱シェフ企画もとうとう最終回。

最後を飾るラーメン店は「らーめん天神下 大喜」

まずは、大喜の店主である武川数勇(たけかわかずゆき)氏のこれまでの歩みを辿っていこう。

「うなぎ割烹」からはじまった料理人の道

大喜の店主・武川数勇氏

大喜の店主・武川数勇氏

武川氏の料理人歴は18歳、手に職をつけようと日本橋のうなぎ割烹に勤めるところから始まる。

そして、22歳に若くして結婚。すると、そのうなぎ割烹だけでは生活が苦しく、翌年から掛け持ちで築地のラーメン店でアルバイトを始めたという。

なんと、その掛け持ちはそのまま14年続くことになる。築地のラーメン店では営業を任せられるまでになっており、独立の道も考えたが、ちょうどバブルがはじけた時代性もあり一歩を踏み出せずにいたそうだ。

そんな時、日課としていたラーメンの食べ歩きで「くじら軒」に出会う。売り切れなどで食べ逃すこと3回、4回目にしてやっと食べることができたくじら軒のラーメンに衝撃を受けたという。

料理経験なしにその味と人気を作り上げたくじら軒の店主を見て、長く料理を経験してきた自分にもできるはずだと、ラーメン店での独立を決意。

そして37歳の時、湯島駅近くに「大喜」をオープンした。

辿り着いた結論は「王道」

大喜は、オープンして18年経っているが、その間ランキング番組でラーメン日本一に輝くなど、人気店への道を着実に歩んできた。

そして、2017年5月、道路拡張による立ち退きのため現在の場所に移転。以前に比べるとやや不便な場所になったが、店内はいつも満席だ。

メニューは大喜を一躍有名にした「とりそば」や自家製麺でファンの多い「つけめん」など、人気メニューが数多くあるが、武川氏にどれを食べてほしいか聞くと「醤油らーめんの細麺」だという。

確かに、醤油はオープン当初からずっとあるメニューだ。濃い醤油色のスープは、彩りとしてナルトとカイワレが乗ってくる。スープの表面には軽く挽肉が浮き、スープを飲むと鶏の厚みのある味わい。

このラーメンのどこに料理人時代の経験が生きているか聞いてみると、「出汁の取り方」との回答。

ただ出汁の取り方は材料をふんだんに使用しているというぐらいで、あくまでオーソドックスなやり方だという。

オープン当初はいろいろなものを入れたりもしていたが、今はスープは鶏ともみじ(スープのダシとして使われる鶏の足先)、そこに煮干しを入れているぐらい。

カエシも醤油にお酒、昆布、鰹節とごくごくありふれたもの。結局一番シンプルなものに落ち着いたという。

先人達が試行錯誤の末に辿り着いた"王道のすごさ"を今になって感じているのだとか。長年料理の世界でやってきた武川氏だからこそ到達した極みだと言えよう。

ラーメン界屈指の凄麺

大喜と言えば、その麺の美味しさもまた評価されているポイント。自家製麺はオープン時からずっと続けている。

こだわりの麺は香りが良く、噛むとやわらかいが歯を押し返す粘り気もあり、のど越しよくスルスルと入っていく。麺の美味しい店は数あれど、その中でも屈指の麺であることは間違いない。

これまで話を聞いた店主は「職人寄り」か、「経営者寄り」の人に分けることができるが、その中でも武川氏は生粋の職人と言えるだろう。

職人が作り上げる究極の逸品を是非とも味わっていただきたい。

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