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連載:「脱シェフ」ラーメンを追え!

「ラーメンと鯛茶」で行列を作る銀座「銀笹」。割烹仕込みのラーメンライスに込める板前魂

ライター紹介

小林孝充
小林孝充
TVチャンピオンラーメン王選手権第8回優勝。ラーメンWalker百麺人。 歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝し"初代ラーメン大王”に。累計13000杯のラーメンを食べたラーメン界のトップランナー。

イタリアンやフレンチなど、一流レストランで腕をふるったシェフが独立し、開業するラーメン屋を特集する「脱シェフ」ラーメン企画。

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今回紹介する「麺処 銀笹(ぎんささ)」は、高級料亭が並ぶ料亭街に行列を作る銀座のラーメン店である。果たしてこの銀笹の店主はどのような経歴を辿ってラーメン店に行きついたのか。 

高級料亭の板前がどうしてラーメン屋になったのか?

銀笹の店主の笹沼高広さん

銀笹の店主の笹沼高広さん

笹沼さんは福島県の出身で、高校時代のアルバイトで外食チェーン「鮒忠(ふなちゅう)」の厨房に入っていたそう。

それをきっかけに高校を卒業後、本格的に料理の道に入ることに。会員制である仙台の「エスカイヤクラブ」に就職し、和食を学ぶ。5年後に上京、加賀料理の料亭である赤坂の「浅田」に入る。

さらに4年後、鯛茶漬けで有名な「銀座あさみ」に入店。ここでの鯛茶漬けとの出会いがその後の人生に大きな影響を与える。

その後、会員制の「六本木ヒルズクラブ」へ。和食以外の料理人とも交流を持ち、ここでラーメンの作り方なども教わったという。

トータル18年。ここまで高級料亭を渡り歩いた経歴を持つ店主が、どうしてラーメン屋さんになったのか?

高級料亭は接待で使われることも多く、作った料理にほとんど手を付けられることなく残されてしまうのも数多く見てきたという。そして銀座あさみで出会った卓越した鯛茶漬けを、もっと気軽に、いろんな人に楽しんで欲しいという想いがあったそうだ。

元々ラーメン好きで週3、4回ラーメンを食べることも多かったという店主は、ラーメンという表現を用いて鯛茶漬けを提供することを決意する。

和食で培った技を一杯の麺と鯛茶に込める

ラーメンに和食料理人時代の経験がどのように生きているのか。

即答でスープ作りだという。毎日食材により微妙に火加減を変える。

その調整は決してマニュアル化できるものではなく、培った勘により成り立っているのだという。

塩ラーメンは昆布をメインとした和風の出汁で、見た目に反して力強い味わい。

開店当初より、全体としてよりラーメンらしい味わいになっている。今の味に辿り着いたのは開店して4年ほど経ってからだとか。

塩を焼くことで味の丸みをだし、ホタテやしいたけなどを加え旨みを増強している。

チャーシューも美味しいが、やはり具の主役はつみれだろう。

具の鯛のすり身は旨みがあり、竹の子の食感が心地よい。この竹の子、秋冬はレンコンに変わるそうだ。このような季節を意識する感性は、和食の経験から来ているところだろう。

そしてラーメンを食べ終わったらいよいよ鯛茶漬け。スープをかける鯛めしは銀座あさみ仕込み。

酒、醤油、みりんを用いて上品に仕上げてある。ラーメンの丼は横に注ぎ口が付いている特注のもの。ここからスープを鯛茶漬けにかけるのだ。

スープはラーメンにも鯛茶漬けにも合わせられるよう、バランスを調整されている。

これこそ現代の進化したラーメンライスと言えるだろう。

実は銀笹は銀座あさみとはすぐの距離にある。

出身店のすぐそばで鯛茶漬けをウリにしたラーメンなんて大丈夫なのか?と思ったら意外にも関係は良好だという。

他のこれまで働いてきた店とも、いまだに連絡は取り合っており、使っている特注の丼も前の職場からのつてだそうだ。

そういったエピソード一つ一つに、人との繋がりを大切にする店主の人柄を感じることができた。

この店主の人柄があったからこそ、今の銀笹のラーメンが出来上がったのであろう。

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