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連載:「脱シェフ」ラーメンを追え!

丼一杯にフルコースを表現!元イタリアンシェフが"味のかけ算"で生み出す濃厚煮干しつけ麺

ライター紹介

小林孝充
小林孝充
TVチャンピオンラーメン王選手権第8回優勝。ラーメンWalker百麺人。 歴代ラーメン王によるラーメン大王決定戦で優勝し"初代ラーメン大王”に。累計13000杯のラーメンを食べたラーメン界のトップランナー。

イタリアンやフレンチなど、一流レストランで腕をふるったシェフが独立し、開業するラーメン屋を特集する「脱シェフ」ラーメン企画。今回は、 「志奈そば 田なか」の店主で、ラーメン界きってのイケメンと話題の田中友規(たなかゆうき)氏に話を伺った。

プロサーファーを目指しながらも続けた料理修業

志奈そば 田なか店主・田中友規氏

志奈そば 田なか店主・田中友規氏

今でこそ秋葉原の二号店も順調だが、果たしてここまでどのような道をたどってきたのか。

田中氏の料理人の第一歩は意外なところから始まる。家を追い出され、パチンコ店の寮に住み働いていた19歳の時、先輩からイタリアンの店で掛け持ちで働くことを誘われたそう。

元々食べることが好きで、まかないが食べられると喜び、誘われるままにイタリアンの厨房に。するとそこでセンスの良さが認められ、すぐにパスタなどの料理を任せられるようになった。

秋葉原の二号店 九十九里煮干つけ麺 志奈田

秋葉原の二号店 九十九里煮干つけ麺 志奈田

3年勤めた後、以前から目指していたプロサーファーになるために、思い切って住居を千葉県の外房に移す。25歳までに芽が出なければ、プロサーファーの道に区切りをつけると決めていたが、プロになったとしても、それだけで食べていける人はごく一握りという厳しい世界。いずれにしても他に職を持たなければならない。

イタリアンで料理の楽しさを知った田中氏は、サーフィンの傍ら茂原の創作ダイニングの店に勤め始める。こちらの創作ダイニングは、シェフが都内の有名ホテルなどでフレンチをやっていた人で、様々な料理やソースづくりなど、色々なことを教わることができたそうだ。

そして3年が経ち、プロサーファーへの夢も一区切りつける時が来た。そのまま創作料理を続けることもできたが、ここでラーメンの世界に転身する。

丼一杯の中に表現されるフルコースに魅了され

元々ラーメンが好きで食べ歩いていたそうだが、料理の世界に触れて、改めてわかったラーメンの奥深さ。1,000円以下という値段で、丼一杯の中に表現されるフルコースに魅了されたという。

まずは千葉にあった京都ラーメンのお店に3か月勤務。その後、当時TVのランキングで日本一となった俺の空の門を叩き1年間勤務。さらに、知人が立ち上げた「らぁ麺三軒屋」の総料理長に就任。そして33歳の時に、自分の味で東京で勝負したいと独立。「志奈そば田なか」を池袋にオープン。2015年には秋葉原に二号店となる「志奈そば田なかsecond」をオープンした。

そして今年secondを「志奈田」としてリニューアル。それまでのあっさり系のラーメンから、場所柄を加味して、濃厚つけ麺をメニューの中心に置いた。

田なかのカラーは損なわないよう、油に頼らずに濃厚さを演出。

九十九里の煮干しをかなりガッツリ効かせているが、煮干しの苦みは突出しないよう抑えられている。このつけダレには、イタリアンで修業した田中氏ならではの、秘密の食材が隠し味として使われているそうで、他のどこの店にも似ていない、「志奈田」独自の味を作り出している。

麺は、なんと製麺業を営む奥さんの実家による特注麺。パスタで使用されるデュラム粉を使用し、平麺にして食感とともに、絡みやすさを重視したものになっている。そして麺の上には大葉が、つけダレにはレッドオニオンが使われ、味と色合いの両面でアクセントになっている。

このつけ麺のどこに、これまでの経歴が一番生かされているのか。

聞いてみると、それは『味のかけ算』だという。ラーメンにはこれというワクがなく、いろんな料理の良いところをねじ込めるのだという。伝統も大事だが、それ以上に何より美味しいものを作るという信念の元に、これまでの経験を一杯に詰め込んでいるのだ。

田中氏は都心で二店舗を経営する今でも、サーフィンを趣味とし外房から通っている。オンとオフの切り替えこそが唯一無二の味を作り上げる原動力となっているのだろう。

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