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連載:日本酒ライターKENZOの「1/3の純情な吟醸」

毎年1,000種以上の日本酒を飲む”熱燗マスター”が厳選!熱燗でもっと美味しくなる日本酒5選+α

こんにちは、ライターのKENZOです。
私は日本酒をもっぱら熱燗で飲んでいます。

そして、最近では熱燗好きが高じて「熱燗DJつけたろう」として、熱燗イベントなどを企画・開催するようになりました。

そんな私の師匠は燗酒Bar Gatsのマスターのマサさんです。
前回の記事でマサさんの熱燗との衝撃の出会いについて書かせて頂きました。記事公開後は読者のみなさまはもちろん、飲食店関係者からも多くの反響が!

前回:「日本酒は絶対に熱くしろ!」酒蔵公認の“熱燗マスター“が熱燗にこだわり続けるワケ
そこで、今回はマサさんが普段行っている熱燗の方法と、オススメの日本酒を包み隠さず教えていただきました。

「この通りにやれば家でも絶対に美味い熱燗が飲める。中途半端なものは教えない」

マサさんはプロのジャズミュージシャンでありながら「燗酒Bar Gats」のマスター。年間1,000種類以上の日本酒を飲み、その中から厳選したものがお店で提供されています。福島で300年以上続く仁井田本家という酒蔵で初めて公認のお燗番にもなった”熱燗マスター”でもあります。

熱燗は、温度をただ上げるだけじゃない!

渋谷区の神泉駅から細い路地に入ってすぐの、マサさんがいる「燗酒Bar Gats」(かんしゅバー ガッツ)にて。

ー「熱燗が美味しいお酒」や「美味しい熱燗のつけ方」などを聞いてもいいですか?
マ)「もちろん!」
前回のインタビューでは、熱燗は純米酒がいいとのことでしたが?

「絶対に純米酒。とにかく愛情をこめて作っている蔵がいい。ちゃんとした酒屋に行って、自分の嗅覚を頼りに選べばいいよ」

ちゃんとした…酒屋はどうやって選べばいいでしょうか?

「そんなもん人に聞け! 子供か! 周りに一人くらいいるだろ。詳しい人が。」

た、確かに…! 笑

「そしてお酒選びにはいろんなファクターがあって、『どの料理に合うか?』が重要になってくる。白身魚、チーズ、お肉、いろんな合わせ方がある。一概に"こういうお酒"とは言えないんだよね。純米酒ってことくらいかな」

では、お店にあるお酒の中でオススメの銘柄を教えてもらってもいいですか?

「もちろん。オススメの銘柄に対して、最適な温度、お酒に合う料理、仕入れている酒屋、全部教えるよ。隠し事なんてゼロ。なにもない」

ちろりも杯も変える! 美味しい熱燗を飲むための基本

銅と錫(スズ)のちろり※がそれぞれ70℃(左)、90℃(右)に湯せんされている
※ちろりとは、日本酒を湯せんで温める際に使う金属の熱燗道具

「じゃあ、早速やっていこうか」

前回も少しうかがいましたが70℃と90℃の湯せんで、日本酒の温度をあげるスピードを変えるんですよね。ちろりも銅と錫を使い分けて。

「じっくりを火を入れる方がいいものもあれば、高温で焼いた方がいいものもある。食材によって焼き方を変えるイメージかな。ちろりも銅と錫だと仕上がりの味が変わるのよ、なんでか知らんけど。ステンレスのちろりとか色々試行錯誤しているうちに、銅と錫が最強だって分かったんだよね」

盃も酒によって変えるんですね。

「酒にも特性があるので盃も合わせた方がいい。何年もいろいろと試していたら、例えば口径が大きいのは酸味を際立たせ、口径が小さいのは旨味を凝縮させる、というのがわかってきた。平盃はお酒それぞれの味の個性を引き立たせてくれる『長所を活かす酒器』なんだよ」

そうなんですね…!

「日本酒のイメージは利猪口(左端)だけど、これは使うべきではない。利猪口は香りを感じづらいので、『味の短所が出やすい酒器』なんだよね。美味しく飲むためのものではない。平盃こそが熱燗を美味しく飲める酒器。これらを使い分けるのは最低条件だね」

マサさんが厳選! 熱燗にピッタリの日本酒5選+α

マサさんがおもむろに、日本酒を選びはじめました。

「そしたらここらへんがいいかな!」

オススメの銘柄の紹介

仁井田本家(にいだほんけ) 自然酒 純米吟醸 夢の香 28BY
神亀(しんかめ) 純米酒 山廃仕込 2年熟成
伊根満開(いねまんかい) 赤米酒
十旭日(じゅうじあさひ) 純米酒 トライアル5号山廃仕込み
神亀(しんかめ) 純米酒 甘口
睡龍(すいりゅう) 梅酒

日本酒が5種類、+αで梅酒が選ばれました。梅酒も熱燗にできるんですね……!
今回はこの中の3本を実際につけてもらいました!

フルーツにもあう!? オールマイティな日本酒

仁井田本家 自然酒 純米吟醸

仁井田本家 自然酒 純米吟醸のつけ方
お酒を銅のちろりに入れる
湯せん(70°C)で60°Cまで上げる
水せん(氷水)で40°Cまで下げる
湯せん(70°C)で58°Cまで上げる
常温のお酒を少し足して53°Cまで下げる
あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ
口径が5cmのおちょこで飲む

「仁井田本家はどんな料理にでも合う。普通は肉や魚など料理が限定されるんだけど、このお酒は甘くて炊きたてのお米のようなものなので、肉でも、魚でも、野菜でも、なんでもいける」

「その中でもオススメなのはフルーツを入れる熱燗。普通は果物を入れると甘みが負けちゃうのだけど、仁井田本家は甘みが強く、果物に負けない。仁井田本家のような四段仕込みの甘口のお酒じゃないとできないんです」

Gats特製のお燗サケグリア
「これが仁井田本家のお燗”サケグリア”。お燗の中にレモンとイチゴが入ってる。フルーツはノーワックスで無農薬のものを入れてね」

ずずっ……ふふ、ははははは〜っ! すごい! まさに果実酒、デザートですね!

熱燗は肉料理。日本酒にもドリップがある。

「では次に神亀の甘口いってみようか」

神亀(しんかめ)純米酒 甘口

神亀(しんかめ) 純米酒 甘口のつけ方
お酒を錫のちろりに入れる
湯せん(90°C)で73°Cまで上げる
常温のお酒を少し足して65°Cまで下げる
あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ
口径が5cmの小さめの平盃で飲む

「この神亀は正に『お米のエキス』なの。だから神亀だけでメチャクチャ美味しい。強いて言えば、出し巻き玉子、雑炊、お粥がおかずに合うかな」

前回は水せん(水で冷やす)されてましたが、今度は水せんをして温度を下げないんですね? 73℃まで上げて、常温のお酒を足すだけで、行程としてはややシンプルな感じですね。

「シンプルだね。ただ73℃まで上げないとダメだよ。温度が上げたりない肉料理なんて絶対に美味しくない。日本酒は液体だけど、上げたりないと『ドリップが出ちゃう』って概念なのよ。酒のドリップとは何か? 苦味、えぐみ、臭み。要はドリップでは無く、したたる肉汁にしたいのよ。」
なるほど…!

「はい、どうぞ」

あ・・・美味しいぃ。。。
「そうだね、だからこれに合うのが金山寺味噌。味噌を口に入れたら、お酒を追っかけて飲んでみて」

ぱくっ…ずずっ……! はっはっはっはっはっはぁ〜! うめーっ!
口の中で味噌とお酒が混ざり合って最高の味になりますね。
「これが熱燗の世界!」

女子会にピッタリ! まるでロゼワイン!?

「じゃあ伊根満開いってみようか」

伊根満開 赤米酒

伊根満開(いねまんかい) 赤米酒のつけ方
お酒を銅のちろりに入れる
湯せん(90°C)で55°Cまで上げる
水せん(氷水)で31°Cまで下げる
湯せん(70°C)で65°Cまで上げる
常温のお酒を少し足して60°Cまで下げる
(もし60°C以下まで下がってしまったら60°Cまで上げる)
あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ
口径が7cmの大きめの平盃で飲む

「ちょっとした女子会とかに最高だよ。このお酒はね、ロゼワインみたいなもんで、チーズに合わせるといい。ラクレットとかウォッシュチーズ。これはワインにはできない「温める」ことができるので、チーズを溶かすことができる。ご家庭でやる時はチーズをふりかけたポテサラとかにも合うね」

ものすごく複雑な行程ですね…! 常温を足すのはどういったイメージですか?
「基本的には足した方が美味しくなる酒が多い。どういうわけか柔らかくなる。常温を足すことによって、燗をしっぱなしの味ではなくなり、生感や鮮烈さが出てくる」
なるほど。

「はい、どうぞ」

おおおぉ、色が…!

「もうほぼロゼワインだね」

(ゴクリ)ん・・・!!! 甘酸っぱい。。

「これは赤米を使ってる。口径の大きい7cmくらいの平盃は酸味が立って、そのまま飲むとライトで美味しい。でもこの大きくて深めの平盃を使うと甘みが強くなって奥行きが出てくる。これはお肉に合わせてこってりした料理と合うようになる。料理と合わせて100点にするのか、酒だけで100点にするのかの違い。料理の長所を引き出すために味を変えてる」

す、、、すごすぎる。。味がたしかに全然違う。

その他のお酒

十旭日(じゅうじあさひ) 純米酒 トライアル5号山廃仕込み

十旭日(じゅうじあさひ) 純米酒 トライアル5号山廃仕込みのつけ方
お酒を銅のちろりに入れる
湯せん(70℃)で65℃まで上げる
常温のお酒をほんの少し足して60℃に下げる
あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ
口径が7cmの大きめの平盃で飲む

「これは鶏肉が合う。筑前煮などほっこりした煮物にも合う。醤油や味噌味の料理と合わせて」

神亀(しんかめ) 純米酒 山廃 二年熟成

神亀(しんかめ) 純米酒 山廃 二年熟成のつけ方
お酒を錫のちろりに入れる
湯せん(90℃)で75℃まで上げる
常温のお酒をほんの少し足して70℃に下げる
あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ
口径が7cmの大きめの平盃で飲む

「とんかつ、フライなどのこってりしたもの。メインディッシュに合うもの。お家のご馳走とかに合わせて欲しい」

睡龍(すいりゅう) 梅酒

睡龍(すいりゅう) 梅酒のつけ方
お酒を錫のちろりに入れる
湯せん(90℃)で65℃まで上げる
お湯を一合に対して、大さじスプーン一杯加水する
同時に 常温の睡龍梅酒を少し足して60℃にする
あらかじめ温めておいた徳利に静かに注ぐ
口径が7cmの大きくて深めの平盃で飲む

「アイスクリームでも合う。イワシのフライ、ササミのフライ、など梅にも合う料理。もしちょっと甘いなと思えば少し水を足してあげてもいい。この加水はお湯だけじゃなく、温めてあるアールグレイ紅茶などで加水しても、とても上品な梅酒になる。純米酒で作った梅酒はやはり熱燗が旨いよ」

ちなみに、マサさんが購入されている酒屋さんも伺っても大丈夫ですか?

「もちろん。酒屋さんもちゃんと紹介してあげて!」

それぞれのお酒が買える酒屋

つきや酒店

買えるお酒
・仁井田本家(にいだほんけ) 自然酒 純米吟醸 夢の香 28BY
・伊根満開(いねまんかい) 赤米酒

詳細情報
東京都世田谷区経堂3-3-19
小田急線「経堂駅」から徒歩3分
03-3420-3351

出口屋(でぐちや)

買えるお酒
・神亀(しんかめ) 純米酒 山廃仕込 2年熟成
・神亀(しんかめ) 純米酒
・十旭日(じゅうじあさひ) 純米酒 トライアル5号山廃仕込み
・睡龍(すいりゅう) 梅酒

詳細情報
東京都目黒区東山2-3-3
東急東横線/地下鉄日比谷線「中目黒駅」から徒歩8分
田園都市線「池尻大橋駅」東口から徒歩8分
03-3713-0268

酒屋さんまで教えていただけるなんて…!

「当たり前! 隠すことなんてなんもないから。熱燗がもっと身近になってもらいたいからね」
ありがとうございます! 早速酒屋さんに行って買ってみて、お家で熱燗をやってみます。
「わからなかったらなんでも聞いて! いくらでも教えるから!」

次回はマサさんが教えてくれる「二日酔いのメカニズムと熱燗の関係性」と、熱燗用具を全て揃えて、教えていただいた熱燗レシピを実際に家でやってみました! お楽しみに!

続きはこちら:最高の熱燗を家で!毎年1,000種の日本酒を飲む”熱燗マスター”が教える作り方で日本酒を温めてみた

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