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連載:絶滅危惧種にさせない、地味だけれどうまい"和食"の深遠

父親に鳥農家になることを懇願。飼育日数150日以上のさつま地鶏を唯一味わえる荒木町・鳥勝

和食が世界文化遺産に登録され、いま世界が注目しているのが和食。でも、日本では「和食離れ」が長年叫ばれ続け、中でも「しみじみ美味しい」「滋味溢れる」、そんな言葉が食の世界でもあまり使われなくなったように思います。

だからこそ、いま「滋味溢れる和食の良さをみんなに知って欲しい」。そんな想いの詰まった"地味だけれどうまい和食の深遠"連載です。

ライター紹介

柏原光太郎
柏原光太郎
1963年東京生まれ。出版社でグルメガイドの取材、編集などをするうちに料理の魅力にはまり、フジテレビ「アイアンシェフ」評議員なども務める。「和の食と心を訪ね歩く会」主宰、「軽井沢男子美食倶楽部」会長。2017年12月よりRetty TOP USER PRO。

私たちがスーパーで買う「若鳥」と呼ばれるブロイラーは通常、50日程度の飼育で出荷されるのに対して、地鶏と呼ばれるものは日本の出荷量全体のわずか1%、飼育日数も75日以上と厳密に決められています。

荒木町「鳥勝(とりしょう)」で使われている「さつま地鶏」の飼育日数は最低でも150日以上。地鶏規定の倍以上なだけでなく、ケージではなく放し飼いなので旨みが十分に乗っているのです。

そんな上等な肉なら誰だって欲しいにきまってますが、実は、日本広しといえども「鳥勝」でしか使われていません。

というのも、店主の福永公彦さんが、日本一の鳥料理店を作りたいがために、鹿児島出身の父親に頼み込み、快諾したお父さんは脱サラして帰郷、鳥農家として第二のスタートをきったからです。つまり、これは鳥勝のためだけに作られた特別のさつま地鶏なのです。
 
そのさつま地鶏を余すところなく楽しめるのが「地鶏焼きコース」(6000円)です。

季節の食材を使ったお通し(この日は愛知の菜の花のおひたしでしたが、鹿児島の食材を使ったものも多い)のあとに登場するのが、毎朝さばくさつま地鶏をハツ、レバー、砂肝、せせり、そりなど、14種類に分けたもの。
 
さつま地鶏は筋肉が発達しているので骨から身をはがすのが大変で、学生時代にずっと柔道をやっていて、見るからに力がありそうな福永さんでさえ、捌くのは1日3羽がやっと。コースはふたりで一羽召し上がっていただくので、ご提供できるのは6人が限界というわけなのです。

テーブルの脇に鉄板を置き、店主自ら焼いて、ひとつひとつの部位を丁寧に説明してくれます。ハツや砂肝などは食べ慣れている焼鳥にくらべると小さいけれど味は濃厚。胸肉の芳醇さにはびっくりします。

地鶏焼だけで満足できない方には+3000円ですき焼きが味わえます。

こちらは店主が考案した、ミキサーで攪拌した全卵をソース替わりにいただいたあと、トマトソースとチーズを足してパスタで〆るというオリジナル料理。ちょっと見は素人っぽいんですが、これが後を引くうまさなんですね。

さらにこの店を特徴付けているのが酒の種類。

鹿児島といえば芋焼酎ですが、なかでも「萬膳」という、昔ながらの製法にこだわり、麹造りから蒸留まで丁寧に手作業で作っているブランドを前割で提供しています。仕込み水も萬膳で、これがまろやかで、飲み始めるととまらないうまさなのです。

 
日本酒好き、ワイン好きには店主と懇意の酒店のラインアップを見ていただきたいところです。
なにせ父親を鳥農家にしてしまったほどの熱意をもつ店主に共鳴した酒店が揃えたのですから、日本酒は「田中六五」や「nechi2015」など希少な酒がオンメニュー、ワインは自然派が中心と、見事な「変態メニュー」です。

しかも、これだけの料理を味わえるのは1日わずか6人。それは、店主の父親が息子の注文に応じて鳥を絞めて、息子が予約当日に捌くという、いまの料理店は面倒で一切やらない方法で旨さを保っているからなのです。

この料理を味わうためには必ず予約されることをおすすめする理由です。

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