皆さまこんにちは。Retty Top Userでコーヒーをこよなく愛するKaya Takatsunaです。
第17回目のゲストは、プロサーファーの吉川共久さん。吉川さんは、長年に渡りプロサーファーとして世界を転戦したのち、競技生活引退後の2015年4月、「Atlantic Coffee Stand(アトランティックコーヒースタンド)」をオープンしました。
- ATLANTIC COFFEE STAND
-
千葉県 長生郡一宮町 一宮
カフェ
このお店、来年開催される東京オリンピック・パラリンピックのサーフィン会場にもなっている、世界有数のサーフスポットの千葉県長生郡一宮町にあるんです。
【コーヒー男子ファイル17】
名前 :吉川共久( Tomohisa Yoshikawa)
誕生日:12月10日
出身地 : 愛知県名古屋市
趣味:スノーボード、スケートボード、バイク、体を動かすこと、子供と遊ぶ。
会えるお店:Atlantic Coffee Stand
Facebook:https://www.facebook.com/atlanticcoffeestand/
サーフボードショップ:https://www.chp.surf/
良い波の側には、良いカルチャーがある
—日の出と共にオープンするコーヒースタンドは、自然の中で生きている感じがして良いですね。
吉川共久さん:この辺り、早朝からオープンしているお店がないんですよ。もしあったら通いたいけど、どこにもないから自分でオープンしました。やってみてわかったことですが、サーフィンに携わっている人はもちろん、現場に向かう前に立ち寄る人達も結構いますね。
—吉川さんは、元々コーヒー好きだったそうですが、ご自身のコーヒー好きとサーフィンの経験からこのお店をオープンされたのですか。
もちろんコーヒーは大好きでしたけど、このお店は別にサーフィンにもコーヒーにも特化しているわけじゃないんです。ただ気軽に人がふらっと行き来できる場所を作りたかったんです。
—きっかけは?
カリフォルニア、ハワイ、バリ、オーストラリアなど、良い波のあるところは、必ず朝から盛り上がっているお店やカルチャーが存在するんです。でも、日本はコンビニやファストフード以外で、その地域に合った手作りのお店ってあまりなかった。そこで、安心して口にできるものを提供できたら良いなと思っていました。
ーお店をオープンしてもうすぐ丸4年が経ちますが、いかがですか?
最高です。好きなことをやれるっていうのはとても嬉しいことです。経営は大変ですけど、それよりも喜びが勝る。でも自分だけの力じゃないし、皆さんの協力があってこそ継続できているので、それはありがたく感じています。
サーフィンが連れてきたコーヒー豆
—コーヒー豆もこだわっていらっしゃいますよね。
はい、うちは主にパプア・ニューギニアの豆を使っています。実は僕、パプア・ニューギニアサーフィン親善大使をやっているので、昔から縁があってですね。知り合いの農家から直接買い付けた豆をこの近所の焙煎士に焙煎してもらっています。
その焙煎士の方もサーファーなんですけど、浅煎りも深煎りも衝撃的に美味しくて。しかもパプアって基本、無農薬なんですよ。農薬を使うっていう概念がそもそもないんです。
—パプア・ニューギニアのコーヒー農家とサーフィンを繋げるって、吉川さんにしかできないことですね!吉川さんはプロサーファーとして長年に渡って活躍されてきましたが、この地に来たのはいつ頃ですか?
生まれ育った名古屋から、いい波を求めて19歳の頃にこの辺りにやって来ました。でもプロになりたかったというよりは、ただサーフィンが上手くなりたかっただけでした。 ゴミゴミした都会はあまり好きではないので、田舎に住みたかったんです。
ー都会とここでは時間の流れ方が全然違うでしょうね。
都会のきっちりしたものを求めている人は、なかなか入りづらい店かもしれないですね。ここでの生活の中心はカフェじゃなくて波なので、海に入る前に一杯のコーヒーを飲むか、波に乗った後なのか、そういうこともお客さんそれぞれの中で成立すればいいかなって思いますね。
コーヒーの味は、波次第
—お店にいて、その日の波の様子もわかるんですか?
天気で大体わかりますね。それから海を少し見れば。
ー波の様子はコーヒーにも影響しますか?
すると思います。毎日味が違うんで。たぶん、いい波に乗った後は最高に美味しいコーヒーが飲めますね。
ー笑!じゃあ「台風の後は波が良い」と一般に言われますけど、その時に来たら美味しいコーヒーをいただけるんですか?
そうですね。その日かその翌日、かなりスペシャルなコーヒーが飲めると思いますよ(笑)。
ーそのユルさがとても心地良いですね。
ここでガツガツしていても仕方ないじゃないですか。詰め詰めの生活が苦手なんです。
ーやればできるけど、やらないのですよね。
いい気分にならないから。競技をやってる時は、ずっと余裕のない感じだったかもしれないですね。
ーだから競技中はお店を開けなかったわけですね。美味しいコーヒーが出てこなそうですもん。
お店やっていたら、もうアクばっかりのコーヒーを出してたと思います。お客さんが犠牲者(笑)。
ーコーヒーの味と波の雰囲気が全て繋がってるってことですね。
味は波次第。
ーかっこいい!!
逆に僕が聞きたいんですけど、他のコーヒー屋さんはそんなことないんですか?
ー東京のお店は、時間も量もきっちり計って淹れているお店が多いです。そういう時は、私もお客として「コーヒーと向き合わなくては!」っていう気持ちになりますよね。でも、ここでは起こり得ないですね。
ここは波次第の街なので、お客さんも波が良い時はテンションが全然違います。波が良いとお客さんも皆「今日、めっちゃ波良かったよ〜」ってなるけど、波がないとイマイチ盛り上がりにかけるんですよね。そういうのは東京の街にはないのかもしれないですね。
コーヒーとサーフカルチャーを繋げる
ー多くの人を魅了するサーフィンの魅力って何ですか?
何ですかね。辞めたことがないからわからないです。なくてはダメなものですね。
ーコーヒーが、サーフィンに良いことってありますか?
集中する前でも、リラックスする時でも飲めるし、危ない波に入る時でもコーヒーがないとダメです。 エナジードリンクって効果が切れたあとすごく疲れるんです。だからエナジードリンク代わりに、試合の時もコーヒーがないとダメなんです。
ー競技で世界の頂点を目指していた時代は、刺激的な生活を送られていたと思うんですけど、今の生活が物足りなく感じる時はありませんか?
元々勝負の世界が嫌いなんですよ。でも今のような生活をするには、競技をしてキャリアを作ってからじゃないと無理だったんです。
ーこの辺りは、2020年東京オリンピック・パラリンピックでサーフィンの会場としても注目されていますね。楽しみですか?
うーん、どうだろう。どっちもありますね。田舎なので、この街がサーフィンにどのくらい理解を示せるかっていうのがキーポイントだと思います。もう来年だけど、まだこんな静かな状態なので、どこまで急展開するのか、その怖さもあります。
長い年月をかけてようやくこの街に馴染んできたものが、激変した時にうまくいかないとまた大変かなって。
ーなるほど。では吉川さんがこれからやりたいことは何ですか?
良い波のポイントは都道府県の数と同じくらいあるので、そういうスポットにこういうお店を作って広げていきたいです。例えば、僕が生まれ育った愛知県の伊良湖エリアにも盛り上がりそうな場所があるんですよ。
ー海ありきの視点が面白いです!
伊良湖にお店ができたら面白いですよね。あとは、バリにも一軒作りたいですね。
***
穏やかで独特の空気感をお持ちの吉川さん。トップクラスの大会で長年戦っていたとは思えないユルさがとても魅力的でした。
サーフカルチャーとコーヒーは密接に繋がっているし、競技をする上でもプラスの効果があるとわかったのは嬉しかったです。
次回のコーヒー男子もお楽しみに!
(撮影:Atsuko Tanaka)
ライター紹介
-
Kaya Takatsuna
- Retty TOP USER。美味しいコーヒーがあるだけで幸せな人。コーヒー好きすぎて、コーヒーの味を評価する国際資格”Qグレーダー”まで取得してしまいました。地元で川越コーヒーフェスティバルを主催してます(^^) アイスクリーム、あんこ、チョコレートも中毒レベル。